[NO.1252] 図説 英国執事

eikokusituzi.jpg

図説 英国執事/ふくろうの本
村上リコ
河出書房新社
2012年6月20日 初版印刷
2012年6月30日 初版発行

シリーズもの「ふくろうの本」の中の1冊なので、ムックの小型版のよう。短時間で読み終わる(見終わる)。著者が「あとがき」で書いている。『図説 英国メイドの日常』につづけて2冊目として書いたのが本書だという。なるほど、世間ではそちらの方が売れ筋なのだろう。図版が多く、解説文は短くまとめてある。

ビクトリア時代のイメージが強かったけれど、20世紀中盤まで働いていた執事の解説を目にし、あらためて現代にも生きている英国社会の根強さを感じた。勤務体系など労働者としての難しさまで言及されているところもあった。

種類を見て、なるほどと納得した。「家令/ハウス・スチュワード」「執事/バトラー」「従者/ヴァレット」とある。他に、フットマン、ホールボーイ、ページボーイ、御者(コーチマン)、馬丁(グルーム)、庭師(ガーデナー)、猟場番人(ゲームキーパー)など。女性使用人としては、ハウスキーパー、コック、レディーズメイド、ナニー、パーラーメイド。上流階級自体の種類分けも整理されていた。ややこしい。家の規模によって複雑になる。お仕着せと称する制服も異なる。これを見ているだけでも楽しくなる。そういえば、お仕着せなどという言葉自体、久しぶりに目にした気がする。日本でも戦前の社会では、商家あたりでもいろいろあった。漱石に出てくる「おさん」や「書生」などとは規模が違うが。いっそのこと平安時代の宮廷と比較してみたらどうなるだろうか。