[NO.1251] いまどきのクラシック音楽の愉しみ方

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いまどきのクラシック音楽の愉しみ方/ツイッター演奏会日記
山田治生
アルファベータ
2012年9月5日 第1刷発行

古書ばかり読んでいたので、こうした新刊に目を通すと新鮮だった。

特に紹介されているネット情報が面白かった。クラシック音楽関連でこうした内容を目にしたのは初めてだと思う。

たとえば楽譜について。
IMSLPなどというサイトについて、ちっとも知識がなかった。今まで知らなかったことが残念で仕方ない。

IMSLPは、International Music Score Library Project(国際楽譜図書館プロジェクト)の略です。

楽譜を書店でわざわざ取り寄せてまで買っていた人たちは、印字すればよい今の時代をどうとらえているのだろう。

曲自体についても、NMLなるサイトが紹介されている。夢のようだ。サイトの紹介を転記すると
クラシック音楽を中心に、CD69,396枚の音楽を全曲再生できる配信サービスです。無料体験・試聴も可能。音楽データベースとして、世界の図書館でも使われています。

ネットラジオ「らじるらじる」さえ知らなかった。

無料で楽しめるインターネットラジオ「OTTAVA(オッターヴァ)」。クラシック楽曲をサビ部分、楽章単位で放送。ライブストリーミング以外にオンデマンド、ポッドキャスト番組の配信も。

American Public Media's SymphonyCast is a weekly classical music radio program hosted by Alison Young and featuring full-length concerts by national and international symphony orchestras.

American Public Media's Performance Today features live concerts by famous artists in concert halls around the globe and from the American Public Media studios as well as interviews, news and features. Performance Today audiences, on any given day, may hear from performances in the great concert halls of New York, Prague, London, Berlin and Paris.

YouTube Symphony Orchestra

きりがない。有料なら「ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール」というものがあるというので開くと、日本語サイトが出てしまった。動画もきれい。

もっと驚いた内容があった。海外から日本公演をする音楽家たちが2011年3月11日の震災を契機として、一気に来日する数が減ってしまったという。地震の影響だけでなく、原発による放射能も関係しているのだろうか。

「バロック・ヴァイオリンとモダン・ヴァイオリン、そしてモダン奏法の行方」が面白かった。

p89~
ヴァイオリンは、19世紀の頃から、ストラディヴァリなどの銘器の良さが認識されていたので、捨て去られることなく、改造された。しかもヴァイオリンは、年を経るほどに木材の化学変化によって質が上がり、四季の温度変化による膨張と伸縮の繰り返しと奏者が弾きこむ振動によって楽器自体のひずみが減るので、年代物の方が音がいい。その上、解体修理が可能なので、19世紀に、多くの銘器が貴族の邸宅で弾くための楽器からコンサートホールで弾くための楽器へと改造された。

後半、本書の半分以上の分量を占めているツイッター演奏会日記は読まなかった。