[NO.1208] 小さな人のむかしの話

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小さな人のむかしの話/コロボックル物語別巻
佐藤さとる
講談社
1987年12月14日 第1刷発行
1988年10月8日 第2刷発行

はるか昔の話だというので、これまで敬遠していた。今回が初読。

読んでみて、たしかにあまり面白くはなかった。コロボックルシリーズの面白さの要素のひとつには、からくり的なメカニックの面白さがある。それだけに江戸時代以前のはなしでは、そうした面白さが半減してしまうためだろう。

しかし、本書でもうけた気になったところに、「あとがきにかえて コロボックル物語余話」があった。それは、作者が頭の中で考えていたのに、これまでの作品では紹介しきれなかった登場人物たちのその後について、説明している部分があったこと。シリーズを何度も読み返すようなファンにとっては、たまらない魅力の部分。

コロボックルの誰々が、その後はどうしたか。あるいは、人間の誰が、今はどうしているのか、などなど。また、小山のコロボックル立ちの科学文化は、その後、どのような方向へと発展していったのか。これなどは、メカ志向の強い作者ならではの関心事だろう。具体的には、コロボックルたちが特に強く関心を示したのが、一人用のオーニソプターだったというところ。これまでシリーズを追い続けてきた読者なら、納得するところだろう。

それにしても、エク坊が高校を卒業した後、ブラジルへ行ってしまったというのには驚いた。いやはや。