[NO.1149] 愛についてのデッサン

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愛についてのデッサン/佐古啓介の旅/大人の本棚
野呂邦暢
みすず書房
2006年6月9日 印刷
2006年6月19日 発行

記憶をたどると、やっぱり再読なのだが、前に読んだ本をどこにやってしまったのか、とんと記憶がない。書棚のどこかなのか、あるいは段ボールのどれかの中なのか、さもなければ処分してしまったのか。当然のことながら、角川から出た初版本を持っていたはずなのだが。

当時はやや甘い推理小説風なところが良かったのだろう。今となっては、そこが詰まらなくもある。若気の至りってやつか。

初出についてあとがきから抜粋

「野生時代」1978年7月号~12月号まで、6回にわたって連載。
「愛についてのデッサン」というタイトルは福岡県久留米市におすまいの丸山豊さんが刊行された詩集のタイトルである。私の小説のタイトルにすることを快く許して下さった丸山先生にお礼を申しあげる。

次に、巻末から抜粋

本書は、一九七九年に角川書店から刊行された『愛についてのデッサン――佐古啓介の旅』に、書き下ろしの解説を付したものです。

で、書き下ろしの解説者が佐藤正午氏。不思議な取り合わせ。

p253
タイトルおよび副題から明らかなように恋愛と旅を主題に書かれ、六つにわかれた章をただ読めばわかることなのでいちいち解説はしないが、「詩」と「謎解き」が小説の仕掛けとして(ほぼ一貫して)用いられている。読めばわかるという同様の理由で、ストーリーの説明も不要だろう。

しかしなあ、こんな解説もないだろう。ファン心理というやつは、わかっていてもなお、好きな作品の周りをくるくるしていたいのだ。

目次
燃える薔薇 佐古啓介の旅(一)
愛についてのデッサン 佐古啓介の旅(二)
若い沙漠 佐古啓介の旅(三)
ある風土記 佐古啓介の旅(四)
本盗人 佐古啓介の旅(五)
鶴 佐古啓介の旅(六)