[NO.1147] のれんのぞき/大人の本棚

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のれんのぞき/大人の本棚
小堀杏奴
みすず書房
2010年9月7日 印刷
2010年9月17日 発行

大人の本棚シリーズはいい。今回は小堀杏奴、解説が森まゆみ。谷根千近辺の記述多し。

明治生まれの著者は昭和30年にちょうど50歳だったということに愕然とする。明治は遠くにあらず。なんともはや。そこから既に55年が経っているのだ。あんぐりと口を開いてしまいそう。

長女の茉莉がマスコミに取り上げられることに対して、どちらかというと控えめな杏奴。しかし、こちらの方が今となっては面白し。

揚げ足をとるようで些末なことだが、気になったことのひとつ。

p37 (柴又の川魚料理「川甚」から)
大正六年に棟上げしたという、古い方の二階から、荒川(ママ)の土堤を眺めながら、以前はもっと川に近く、桜の老樹が、それこそ手に触れそうに低く枝を垂れていたと聞くだけで、花の昔が思われた。

これは、どう考えても「荒川」ではなく、「江戸川」ではないのか?

初出一覧

収録作品はすべて『酒』(酒之友社)に掲載されたものである。掲載号は以下のとおり。

のれんのぞき
芋坂の羽二重団子、昭和34年4月
飯田屋の「どぜう」、昭和34年7月
さくら鍋「みの家」、昭和33年12月
天ぷら「天満佐」、昭和34年3月
福神清の酒悦、昭和33年10月
神茂のすじ、昭和34年2月
柴又の川魚料理「川甚」、昭和34年6月
江戸前「すし政」、昭和34年5月

お江戸は遠くなりにけり
羽子板 押絵作り、昭和35年1月
人力車、昭和35年2月
花簪、昭和35年3月
煙管つくり、昭和35年4月
川並み、昭和35年7月
定斎や、昭和35年9月
櫛の十三や、昭和35年10月
いせ辰の千代紙、昭和35年11月
太神楽、昭和36年1月
寿餅つき、昭和36年2月
蛇の目・番傘作り、昭和36年6月
船宿、昭和36年7月
入谷の朝顔市と浅草観音のほおずき市、昭和36年8月
尺八を作る人、昭和36年9月
藤波の小道具、昭和36年10月

ハイカラ風俗史
リボンと造花の簪、昭和37年3月
水屋の玉のれん、昭和37年7月
修道院、昭和37年8月
古風な西洋館、昭和37年9月
カトリック墓地、昭和37年12月
長崎かすていら、昭和38年1月
ハーモニカ、昭和38年3月
ジンタ、昭和38年4月
葡萄園、昭和38年10月

江戸の古寺
浄閑寺、昭和40年2月
吉祥寺、昭和40年1月
麟祥院、昭和39年2月
禅林寺、昭和39年8月