[NO.1134] 著者に聞く

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著者に聞く
産経新聞「著者に聞く」取材班
芳賀書店
2000年12月1日 初版第1刷発行

初出
1997年1月~2000年8月までに、産経新聞に掲載された「著者に聞く」の中から抜粋、修正、加筆したもの。

付け加えるなら、それぞれを書いた記者名も併記してある。見開きで1冊紹介なので読みやすし。コンパクトな書評集とも呼べる内容。トップは懐かしや妹尾河童『少年H』で最後が有吉玉青『ねむい幸福』まで。産経とあって、選書が面白し。

※   ※

気になった本
■永井義男『算学奇人伝』TBSブリタニカ1997年
この10冊あとに金重明『算学武芸帳』朝日新聞社1997年が紹介されている。算学続きで気になる。昨年、NHK総合で放送されていた番組『タイムスクープハンター「"算額"頭脳バトル」』を見てから、にわかに算学に興味づいたことがあったけれど、今はすっかり忘れていたな。
開高健賞を受賞している。選考委員の向井敏氏が「だまされました」と初対面の著者に言ったとのこと。実在の人物でわき役がかためられたこの作品を、選考委員一同がノンフィクションと思い込んだのだそうだ。なんともはや。

犯罪がらみではあるが、血なまぐさい場面は描かれない。色恋ざたもない。頭の体操をからめた大人の知的エンターテインメントといったところだ。
「アメリカ映画『スティング』やジェフリー・アーチャーの小説『百万ドルを取り返せ!』のようなしゃれた知能犯的な物を時代小説で書いてみたかった」
本業は社内報や会社案内などのコピーライター。バブル崩壊で仕事がバタリと途絶えた。そこで書いたのが第一作の『深川猟奇心中』。今回の受賞作は第二作である。不景気が小説への道をつけてくれた。

■柳田邦男『20世紀は人間を幸福にしたか』講談社1998年
8人にインタビューした内容とのこと。
■木田元『哲学入門』新書館1998年
冒頭はご自分が哲学にのめり込むまでの自伝的内容。後半四分の三は、著者によるハイデガー理解とギリシャ以来の西洋思想の"読み"とのこと。
■出雲井晶『母と子におくる教科書が教えない日本の神話』扶桑社1998年
昨年一年間本誌に連載したものに手を加え、より読みやすくしたとのこと。なるほど。
■佐藤誠三郎『笹川良一研究』中央公論社1998年
次のテーマは丸山真男論だそうだ、とある。こちらも気になるなあ。
■土屋賢二『人間は笑う葦である』文藝春秋1998年

本の帯に「抱腹絶倒の哲学エッセイ」とある。確かに吹き出すのを抑えるのに苦労した。

のだそうだ。