おっとりと論じよう/丸谷才一対談集 丸谷才一 文藝春秋 2005年11月25日 第1刷発行 |
初出
■「桜うた千年」「文藝春秋 臨時増刊」2003年3月号
岡野弘彦、大岡信、丸谷才一
■「夏目漱石と明治の精神」「文藝春秋 臨時増刊」2004年12月号
山崎正和、丸谷才一
■「言葉は国の運命」「文藝春秋 臨時増刊」2005年3月号
井上ひさし、丸谷才一
■「『昭和二十年』を語ろう」「文藝春秋 臨時増刊」2005年8月号
鳥居民、井上ひさし、丸谷才一
■「新しい勘三郎の時代」「東京人」2005年8月号
中村勘三郎、関容子、丸谷才一
■「日本美一〇〇」「文藝春秋 臨時増刊」2004年9月号
鹿島茂、三浦雅士、丸谷才一
座談の名手丸谷才一節が全開。丸谷氏の魅力的なエッセイも続くと飽きてもくる。そんなときにふさわしい対談集。
「夏目漱石と明治の精神」山崎正和、丸谷才一
漱石と探偵という話題はよく目にしていたのに、ここでいう探偵があのホームズのことだとは一致しなかった自分の迂闊さ。探偵に後を着けられていると思い込み、ノイローゼになったという逸話ももちろん知っていた。漱石が主人公の探偵小説を面白く読んだこともあった。それなのに、ここで気にしている探偵がシャーロック・ホームズだと、なぜ気づかなかったのか。
『放心家組合』の出典がどうだとかいうことよりも、こちらの方が当たり前だった。
コナン・ドイルが活躍した時代と漱石がロンドンへ留学した時代が重なること自体に頭が働かなかったというべきか。
「言葉は国の運命」井上ひさし、丸谷才一
「ロバート議事規則」を井上氏が紹介している。それに対して、丸谷氏が触れていないところが、あれま。知らなかったはずはない? こんなところで目にするとは思いがけず。
「日本美一〇〇」鹿島茂、三浦雅士、丸谷才一
まず、日本美について、ポイント制で100位まで決めようなどという、その発想に脱帽。
p181
三人が、文学、建築、美術工藝、映画、漫画、風景、祭り、藝能、その他のジャンルから一人百ずつ、日本の美を代表する候補を持ち寄った。計三百の候補を二百に絞り、採点を行なった。持ち点は各自十点を十項目、九点を十項目、......一点を十項目、合計百項目五百五十点とし、点数が高いものから順位を付けた。満点は三人が十点を付けた三十点となる。
本鼎談は、採点が終わって集計し、順位が決まったところから始まる。
これでこそ、大人の遊び。
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