[NO.1126] 白系ロシア人とニッポン

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白系ロシア人とニッポン
ポダルコ・ピョートル
成文社
2010年7月29日 初版第1刷発行

目次付の紹介が出版社サイトにあり。リンクはこちら

学術書なので読みにくいかと思いきや、それなりに読めてしまう。テーマが珍しいだけでなく、文体がこなれているのが読みやすい理由かな。

20世紀初頭、ロシア革命を逃れた人々が世界中に散らばった。その中で日本に来たロシア人もいたのだという。その数、およそ数千人。中には日本を経由してアメリカ等へ出国した人々も。
いずれにしても、明治開国以来これだけの白系露人が来日したことはそれまでになかっただけに、当時の日本にとって大きな出来事であったという。その後、日本に定住した人の中には、後のモロゾフ製菓の創始者なども名前が挙げられている。

大正モダニズムが関西で興ったとき、阪神間に在住することになった白系露人が大きく影響を与え、とりわけ宝塚歌劇団にかかわった音楽家について取り上げられている。また、宝塚関係以外に、バイオリン演奏家諏訪根自子も白系露人の音楽家に習ったのだという。

内容が実に多岐にわたっていて面白し。

著者についての経歴も興味深し。

「白系ロシア人と日本人の仮装パーティ、1930年代」という説明の入った表紙カバー写真が見返しにまで続いて掲載されている。1930年代というだけで、場所もどこなのか詳しい説明はないのだが、画面右下で床にあぐらをかいて座っている男性のとぼけた姿がなんともいえない。裃を着けてちょんまげの鬘までかむっている。