[NO.1121] 悲しい色やねん

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悲しい色やねん/新潮文庫
小林信彦
新潮社
昭和62年12月20日 発行
平成元年4月30日 11刷

初出について、巻末から抜粋。

「悲しい色やねん」は小説新潮昭和六十三年一月号に掲載され、本書に初めて収録された。「みずすましの街」は文藝春秋刊『夢の街 その他の街』(昭和五十四年九月刊)、「横になった男」は文藝春秋刊『唐獅子惑星戦争』(五十三年十一月刊)、「消えた動機」は文藝春秋刊『唐獅子超人伝説』(五十四年六月)に収められた。

「みずすましの街」は、つい最近読んだ記憶があるのに、いったいどの本で読んだのか、皆目思い出せず。『夢の街 その他の街』ではなかったはずなのだが。

「悲しい色やねん」が秀逸。もっと物語風の小説なのかと思っていたところ、まったく違っていた。てっきり唐獅子シリーズ風かと勘違いしていた。関西の神経質な芸人というのが忘れられない。最後、酔って深夜に電話をかけてきたという横山やすしのエピソードを思い出してしまう。

ラストのシーン、南港の埠頭での会話。

「そういえば、上田正樹の『悲しい色やね』という歌は、ここらを歌ったんじゃないですか」
「それは浩がよう歌うとったやつや。大阪ベイブルース、いうて」

それにしても、この表紙はないだろう。