鈴木邦男の読書術/言論派「右」翼の原点 鈴木邦男 彩流社 2010年4月20日 発行 |
「本を読む」だけの人生だったのかもしれない。というくだり、感慨深い。そのためにどれだけのことを切り捨ててきたのか。毎月30冊以上の読書を何十年も続けてきたという。とてもそこまでには及ばずとも、ほぼ近い生活を送っているので、それがどういうことを意味するのかはおおよそ理解できる。時間のやりくりと言ってしまうのは簡単だが、実行するには生半可なことではない。目黒考二氏のような本読みもいらっしゃるので、一概には言えないとしても。
p321 あとがき
驚いた。全く別人の本を読んでるような気がした。「この人はこんなにストイックに読書してきたのか」と驚いた。「メシを食わなくても本を読む」ところなど、思わず涙ぐんでしまった。それだけ本を読むことにこだわってきたんだ。しかし、それで失ったものも多かったはずだ。女の子と仲よくなっても、すぐに捨てられたんだろう。友人だって随分と失ってきたはずだ。四年ほど会社に勤めたというが、マトモに勤まるはずがない。異常な本好きのせいでクビになったんだろう。かわいそうな人生だ。
...と、他人のように見てしまう。でも自分のことなんだ。ウーン、なんなんだろう。ここまでやれるのは。四十年間、右翼運動をやってきたというが、本当は、ただの「読書人」だったのではないか。本を読むように運動をやり、本を読むように人と付き合ってきたのではないか。いや、運動も、事件も、友人も...全ては〈大きな本〉の一ページだったのかもしれない。ずーっと、その〈大きな本〉を読んできただけかもしれない。「本を読む」だけの人生だったのかもしれない。
著者がこれまでに読んできた本を紹介しているところが面白し。
第3章では、筑摩書房『戦後日本思想体系』『現代日本思想体系』『近代日本思想体系』の3種類。ちなみに列記順に読みやすいのだとも。
第5章何を読んだか――一九九〇年・二〇〇〇年・二〇〇九年 はそのままスキャニングしておくことにしたいくらい。あまりにも多い。
交友関係の広い人だ。
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