[NO.1109] 秘密の花園

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秘密の花園/光文社古典新訳文庫
バーネット
土屋京子 訳
光文社
2007年5月20日 初版第1刷発行

小学生のときに読んで以来の再読。しかも、新訳。初読時は村岡花子さんの訳だったのだろう。新訳で噂になった光文社文庫、これを手にするのも本書がはじめて。

記憶にある秘密の花園は中庭のように思っていた。しかし、実際には広い庭園の中に塀で区切られた庭のことだったとは。人の記憶とは曖昧なもの。てっきりあの桑原弘明による中庭のようなイメージだった。枯れた噴水が中央にあって、というような。

今読むと、これは疲れた大人の癒しを目的とする本として流通しているような気がする。出版社の想定している読者、販売方針もそうではないのかな。今どきの子ども向けというよりも、大人向き。

※   ※   ※

文中に出てくるヨークシャーなまりを訳した方言に抵抗あり。よく言われるように、外国語の田舎言葉を日本語に翻訳するとき、どうしたらいいのか。日本語での方言では、どの地方のものにするのか。今さら今の時代の翻訳で、俗に東北地方のようなおかしな方言を捻出するわけにもいかないだろう。

それで、本書では「~とる」という言い回しが出てくることになったのか。「~しとる」というような言葉遣いには、どうも違和感を覚えてしまう。