[NO.1108] 本を読む本/読書家をめざす人へ

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本を読む本/読書家をめざす人へ
モーティマー J.アドラーチャールズ ヴァン ドーレン 共著
外山滋比古槇未知子 共訳
ブリタニカ出版
1978年6月20日 初版発行
1978年7月31日 第2刷発行

戦前にアメリカで出版された教科書。いかにもプラグマティズムっぽい。それが日本の読書界とは対極なため、新鮮だったのだろうと想像できる。

訳者が外山滋比古氏というのも、なんだか肯ける。どういう経緯で、日本国内に影響を与えたのか、知りたくもなる。どっちみち、まだ影響の残っていた文壇や書評家からは傍流なんだろうけれど。

それなりに読了には時間がかかってしまった。具体例として引用されている本の題名に、なるほど。『アンドロメダ病原体』からギリシア哲学書まで。どういう読者を想定しているのか、想像しているうちに予想外に時間もとってしまった。

読書を4つのレベルに分け、段階を追って読みかたを高めなさいという指示。教科書だから、とにかく著者の指示に従いなさいと、そこは堅苦しい。

大学の新入生に、これからの本の読み方を教えている。結論からいえば、レポート(課題)をまとめるために、何冊もの本(資料)を用意して、それらをいかに効率よく読み込んだらいいのか、という内容。

後半の一部には文学書も出てくるけれど、ほとんどが教養書と呼ぶ種類の本を、大量にどう目をとおし、必要個所を見分けたらよいのか、そのノウハウを教えようとしている。

日本に比べ、アメリカの学生が大量の本を読まねばならないという話はよく聞くが、そういう学生たちが最初に手本とする内容の教科書だった。

※  ※  ※

最後に「日本人と読書」と題して外山滋比古氏が書いている文章が面白し。「返り点読み」なる呼び名で、漢文の訓読の読みかたと英文の関係代名詞との比較考察、なるほど。