[NO.1099] 僕らが作ったギターの名器/文春新書770

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僕らが作ったギターの名器/文春新書770
椎野秀聡
文藝春秋社
2010年9月20日 第1刷発行

予想以上に面白し。夜更かしも忘れて読み耽る。文春新書、侮り難し。

著者はESPの創業者。まるで西和彦氏がアスキーを起こした後、退社したように、同じく椎野氏もESPを退社して、新たな会社を作っている。組織が大きくなるよりも、小回りがきいて自分の好きなことをやれることを望んだため。似ている。

出版社サイトに、リンクあり。こちら

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目次

前口絵 著者が設計・プロデュースした傑作13点

はじめに7

第一章 サウンドデザイナーの仕事-音を描くプロフェッショナル
サウンドポリシーありき/パリで聴いたマカフェリ/「1000分の1
000」のモノ作り/「技能」は伝達できない/ギターとの出会い/デ
ザイナーが陥りがちなワナ/ミュージシャンの気持ちを翻訳する/マテ
リアルとパーツの違い/日本の泣き所/エンドースメントをしない理由
/ギターとブランディング/ギブソン、フエンダーからの依頼

第二章 楽器とサウンド-楽器の価値を考える
「良い音」とは、どんな音だろう?/FENラジオの書/カラオケのエ
コーサウンド/民族でも違う音の好み/脳はイコライザー/楽器と周辺
機器/楽器の「声」を聴くこと/弦楽器の宿命、音量の拡大/遠鳴りと
側鳴り/楽器の選び方/アナログ楽器とデジタル楽器/楽器の「器量」
第三章 ギターの歴史-ギターのルーツから現代まで
楽器の起源/弦楽器の出現/ストラディヴァリのギター/6弦ギターの
祖、トーレス/アメリカ移住民達のギター/Xプレイシング、マーチン
の凄さ/ギターのルーツを訪ねる旅/ロベール・プーシェのギター/エ
レクトリックギター・ブーム/時代を変えたウッドストック/魔法の杖、
エレクトリックギター/コピーモデルの時代/フォークギ夕ー・ブーム
/ブームの功罪/ガレージ・ファクトリーの先駆け、ESP/ギターの
カスタマイズ文化を作った、PACO/世界のカスタムビルダーを陰で
支えたVe Sta X/チャンドラー、カスタムビルダーの台頭/GV-
Ⅲ、ロックからフュージョンへ/AKAI1997、世紀末のハイエン
ドギター/ディ・アンジェリコギターの復活

第四章エレクトリックギター-半世紀の進化と様々なタイプ
エレクトリックギターの出現/ピックアップの構造/ソリッドギター/
ソリッドの傑作、レスポール/大胆な設計思想、テレキャスター/優れ
た演奏性、ストラトキャスター/セミソリッド(セミホロウ)ギター/
セミアコースティックギター/フルアコースティックギター/エレクト
リック・アコースティックギター/航空機メーカーの作ったギター

第五章 ギターと木材-木を知る事は、ギターを知る事
ギターの部位と木の種類/産地によって違う木の性質/良材が供給され
る工房の格付け/木を寝かせる理由/張力との闘い/木の経年変化/単
板と合板/木の接着剤二カワの特性/ネックの構造と材質/木材と塗装
/塗料の種類と塗装法

第六章 21世紀のギター-モノ作りの現在から未来へ
楽器作りの原点/感性を磨く力/ポリシIが問われる時代/ギター製作
をめざす人々へ/モノ作りのDNA

あとがき

構成 青山弦

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p147

ギターとは、たとえそれが入門者向けの低価格品であっても、弾きやすくバランスを考えて作られてさえいれば、十分に楽しめる楽器だ。しかし、音響や演奏性を度外視していい加減な作りをされたギターは、プロが弾いても音が出しつらい厄介な代物だ。「Fのコードが押さえられなくて、ギターは諦めました」、そんな話を聞かされると、本当に悲しくなる。適正な弦高とテンションに調整されたギターで少し練習すれば、Fコードは誰でも押さえられる。そうでなければ、ギターにどこか問題があるのだ。

上記、記述には、なんともはや。

木工所であれば、それだけで楽器を作らせたとも。ひどい話。