[NO.1005] 象を洗う

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象を洗う
佐藤正午
岩波書店
2001年12月10日 第1刷発行

1990年代に書かれたエッセイを編集したもの。最も初期のもので1991年。身辺雑記が多いので、最近の著者とはズレがあるかもしれず。

佐藤正午氏といえば、『永遠の1/2』。リアルタイムで読んだはずなのに、ちっとも記憶にない。どうしたことか。

最後まで読んだけれど、どうやら相性がよくないらしい。はじめは文体が受け付けないのかと思いきや、原因はどうもそうではないのかも。著者の習い性というべきか、すぐに自己否定するところ、行ったり来たりする視点の定まらなさにいらいら。もっとハッキリせいや! と言いたくなる文章。

面白かったのが、p20「ペンネーム」。著者の名前「正午」の由来を読者(?)が想像し、ニーチェの『ツァラトゥストラはこう言った』の中からとったのではないかと指摘する手紙をもらったのだとか。なんでも『ツァラトゥストラはこう言った』の中に「正午」という章があり、そこには「もう飽きるほど眠ったろう。長かったな? 永遠の半分もか!」と書かれているのだとも。
ここで、佐藤氏のデビュー作が『永遠の1/2』であることを思い出してくれないと、うまく結びつかない。判じ物めいてるなあ。

書名にある『象を洗う』の由来、その説明を読んでもちっとも可笑しくはなし。別に可笑しさを狙った訳でもないのだろうけど。