マイ・ラスト・ソング/あなたは最後に何を聴きたいか 久世光彦 文藝春秋 1995年4月10日 第1刷 |
もし最期の刻に一曲だけ聴くことができるとしたら、どんな歌を選ぶだろうか―。上村一夫と「港が見える丘」、若山富三郎と「時の過ぎゆくままに」、美空ひばりと「さくらの唄」、戦時中に流れた「ハイケンスのセレナーデ」から「何日君再来」、讃美歌まで、忘れえぬ歌と人にまつわる思い出を名文で綴ったエッセイ集。 Google Booksから
『あと千回の晩飯』(山田風太郎)というタイトルも切なかったけれど、それに匹敵しそう。久世氏、この11年後に逝去。前書きを読むと、なおさら胸に響くものあり。この前書きから推察すると、まさか、この11年後には自分がこの世を去ることになるなど、予想もしなかったろうに。
臨終の席で、何の歌を聴きたいか。こんなことを聞いてまわられても、いい迷惑。結果、同年代に聞くことになったのだとか。で、戦前から戦後すぐの歌謡曲が多くなったのだとも。
この本には続きがあって、著者が亡くなってから出版されている『マイ・ラスト・ソング 最終章』。こちらも読もうかと思ったけれど、いっそう辛くなりそうで、今のところ断念しておくことに。
久々に目次を転記
アラビヤの唄
港が見える丘
時の過ぎゆくままに
幌馬車の唄
さくらの唄
影を慕いて
哀しき子守唄
落日
ハイケンスのセレナーデ
父母の声
愛国の花
おもいでのアルバム
何日君再来
賛美歌三一二番
バイヤ・コン・ディオス
二人の瞳
蘇州夜曲
十九の春
As Time Goes By
カチューシャ
ラ・ゴロンドリーナ
恋のアマリリス
蛍
支那の町の支那の子
駆け落ちの歌
あとがき
※ ※ ※
表紙、裏表紙、扉、それぞれに配されたイラストがいい。
装幀 中島かほる
装画『アール・ヌーヴォー・デザイン』(トレヴィル刊)より
(C)Andew Watt-TREVILLE
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