[NO.934] 讀書閒適

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讀書閒適
富士川英郎
小澤書店
平成3年12月20日 初版發行

 好奇心の赴くままに行動していると、ときどき鉱脈に当たったと感じることがあります。今回もそのひとつかと。

 おかしな人物に当たったなというのが感想。まず、本書はタイトルからして旧字体であり、もちろん本文もすべて同じく旧字体。
 さらに、自分の父親である富士川游についての記述も、とても親族をそれも父親のこととは思えない書き方。そうしてその富士川游氏もまた、不思議な人物。本書中、森鴎外と比較してあるのを見て驚いたのですが、いやあ、当時はこのお二方を同じに論じられていたということを知り、さらに驚愕。

 まだまだ知らないでいる面白いことがあるもの也。


 p123~萩原朔太郎と石川啄木とを比較している論考面白し。二人は同年生まれ。啄木は明治時代に新しい歌人としてデビュー、明治45年には夭逝。対する朔太郎はその頃「スバル」などに短歌を投稿している無名の存在。詩人として活動しはじめるのは大正二年以後。このとき啄木は既に世におらず。その意味で二人は極めて対照的。なるほど。
 さらに著者はいいます。朔太郎が生まれることが、もう十年早くても、遅くても、『月に吠える』のような詩は生まれなかっただろう。