イナイ×イナイ/講談社NOVELS 森博嗣 講談社 2007年5月9日 第1刷発行 |
横溝正史ばりのおどろおどろしい地下牢での事件。活躍する人たちは現代風で大学生の少年ぽい真鍋瞬市くんなど、これまでに読んできた森博嗣さんの著作、S&MシリーズやGシリーズを想起させられる風貌です。
なによりも東京を舞台というところが一番の違いでしょう。最後に一瞬だけ西之園さんを登場させるところがツボを押さえていますね、森さん。で、西之園から姿を隠す椙田泰男氏は保呂草潤平氏の変名だったりして。違うかな。
それから、この分だと海月くんあたりも東京の大学へ入学しなおした、などといって登場しても可笑しくないかも。
いずれにしても、途中読み飛ばしてきたVシリーズに取り組まねばならないような気がしてきました。四季シリーズはまだいいかな。
さっき気がついたのですが、表紙にあるのは真空管だったのですね。これって、小川玲子氏が管のアンプ好きであることから、ということでしょうか。p87には「300Bのシングル」なる用語が彼女の口から出てきました。なるほど、調べてみると1本○万円。これまでオーディオには手を出さなかったので、存じませんでした。形としては、その昔の言葉でいうところの「ダルマ管」。こんな分野があるのですねえ。まあ、安物の5球スーパーラジオあたりを作ってはバラしていた身にとっては、いやはや雲の上の存在也。
森氏、小説が売れてからは、金銭感覚がまるで違ってしまいましたからねえ。
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