[NO.880] 読書からはじまる/NHKライブラリー

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読書からはじまる/NHKライブラリー
長田弘
日本放送出版協会
2006年10月15日 第1刷発行

 じっくり就寝前の読書で味わいながら読み進めた本。詩人長田弘氏の文章が、なんともいえずよし。
 哲学書のごとく、じっくり読まねばならず。そんな内容と文体がしっくり一体化。

 本を読むとは? 本は友人である。いい解釈です。山本夏彦氏のいうように、死んだ人とも友だちになれる。
p17
「どんな人もその気になれば友だちは見つけられる。現実生活に友だちがいない人にも、唯一友人を準備してくれるものがあるとすれば、それは書籍だ」。幸田露伴はそう言いました。
 本を読むとは? 本を読むための時間と空間を用意することである。そのための比喩・レトリックとして読書のための椅子を用意せよとも。こちらはもっぱらゴロゴロして読むので、なんともはや。

p39
自動車を自分で運転しつつ、本を読むふける(ママ)ことはありません。

壁面をすくなくし、空間をさえぎらないようにする住まい方を求めれば、結果する
(ママ)のは本棚のない、本のない空間です。
 両方とも誤植でしょうかねえ。
 「あとがき」によれば、本書は各地の講演草稿から、すべて新しく書き下ろしたものだそうです。しかも、最後の頁によれば、本書は、当社単行本『読書からはじまる』(二〇〇一年六月二十五日第一刷発行)をもとにしたものです。だそうですから、途中で手を入れることも可能だったはず。

p51
なにしろ本というソフトウェアは、一〇年や三〇年の産物ではないのです。すくなく見積もっても、二、三〇〇〇年かけてつくられつづけているのです。

p120
 そのように、本を読むというのは、その本のもっている時間を手に入れるということなのだということを、よくよく考えたいのです。読書はただ、言葉を読むというのとは違う。絵本のような子どもの本の読み方に教えられるのは、読書というのは自分の時間の手に入れ方なのだ、ということです。
 うーむ、いいフレーズ。読書というのは自分の時間の手に入れ方なのだ