[NO.842] どれだけ読めば、気がすむの?

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どれだけ読めば、気がすむの?
豊崎由美
アスペクト
2007年4月6日 第1版第1刷発行

 初出誌は
p2
トヨザキ社長の前口上
 一冊の本を紹介した原稿ばかり二三九本を収録した、初めての書評集『そんなに読んで、どうするの?』が出たのが二〇〇五年十二月。今回の『どれだけ読めば、気がすむの?』には、そこには収められなかった一度に複数冊を紹介した原塙がまとめられています。
 マガジンハウスの「GINZA」で連載した原稿、角川書店の「ChouChou」で連載した原稿、本の雑誌社の「本の雑誌」で連載した原稿。二〇〇〇年から二〇〇四年の五年間、毎月約三冊ずつ紹介してきたこれらの仕事を発表順に並べてみることで、小規模ながらも読書のクロニクルみたいなブックガイドになれば、というのが版元とわたしのささやかな願いなんですの。

 だそうです。前作『そんなに読んで、どうするの?』と同じ時代に書かれた内容ということらしいですね。三冊の選び方というのが、この後に紹介されており、それがなかなか。
p3
 そんな叩き上げのライターなので、媒体の性格は気にします。三冊紹介する時には、その中の一、二冊は当該雑誌の中心読者層が楽しめそうな本を選び、そこに少し敷居が高そうな小説をこっそり忍びこませる。そんな書き方を心がけてきたつもりです。
 こう書かれてしまっては、どれが敷居を高くした一冊なのかを見極めたくもなるもの。もっとも、そんなことばかり考えていては、紹介されている書評が楽しめませんので、ほどほどにしてしまいましたが。

 書評の中身は翻訳小説が大半。このところ翻訳小説なんぞはあまり読んでいなかっただけに新鮮でした。

■p149アレン・カーズワイル『驚異の発明家(エンヂニア)の形見函』(大島豊訳/東京創元社)
■p171『サロン・ドット・コム』(柴田元幸監訳/研究社)作家ガイド
■p241アレン・カーズワイル『形見函と王妃の時計』(大島豊訳/東京創元社)『驚異の発明家(エンヂニア)の形見函』の続編・姉妹編
■p288坪内祐三『文学を探せ』(文藝春秋社)書評集、「文學界」2007年7・8月号掲載
■p290『乱視読者の冒険』(若島正著、自由國民社)
■p290『乱視読者の帰還』(若島正著、みすず書房)上記の続編

p291
 高山師や若島氏以外にも、斎藤美奈子氏、風間賢二氏、坪内祐三氏、柴田元幸氏、青山南氏、関川夏央氏、川本三郎氏と、尊敬できる書評の書き手は多いのですが、詩や小説の実作者にも素晴らしい評者は多々存在いたします。高橋源一郎氏、村上春樹氏、堀江敏幸氏、丸谷才一氏、荒川洋治氏、池澤夏樹氏、佐藤亜紀氏の書評は、これまたブックレピュアーとして意気消沈してしまうほど鋭く、鮮やか。「たしかに、書評家なんて専門職は必要ないのかも」とすら思わされることもしばしばです。

■p291『あたりまえのこと』(倉橋由美子著、朝日新聞社)書評集

目次
トヨザキ社長の前口上
Ⅰ 二〇〇〇~二〇〇二年の本(「GINZA」「ChouChou」)
Ⅱ 二〇〇三~二〇〇四年の本(「本の雑誌」)
Ⅲ 本とそのまわりで
豊崎由美のあとがき「どれだけ読めば、気がすむの?」
作品名索引
作家名索引