[NO.841] 青空の卵/創元推理文庫

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青空の卵/創元推理文庫
坂木司
東京創元社
2006年2月24日 初版
2008年8月22日 18版

 殺人やサイコホラーや異常犯罪も出てこないというので、たまたま読んでみました。北村薫氏のような作風を期待したのですが、これが期待はずれ。格段の差。差別するつもりはないけれど、久々に考え込んでしまいました。

 こういうのが今どきの読者には受けるのでしょうか。作者の思い入れが強いというのが、ひしひしと伝わってくるものの、それが普遍化されていないような。それなのに、ホラ、読者のあなたも「わかるでしょ?」と言われているようで、そこが辛い。文章からは伝わってこないので、わからないだけに。
 その昔、佐々木丸美なんて作家もいましたが。ちょっと連想。

 創元推理文庫ってのは翻訳もので本格ミステリの総本山という印象が強く、びっしりと並んだ活字を追ってゆくのが楽しみだったもの。ところが本書は改行ばかり。各章の冒頭なんぞ、まるでどこかのエッセイ集みたい。ポエムなのか独言なのか。こういうのが、ライトノベル?