ファインマンさんベストエッセイ リチャード・P・ファインマン 大貫昌子・江沢洋 訳 岩波書店 2001年3月15日 第1刷発行 |
同じく岩波書店から出ている『ご冗談でしょう、ファインマンさん』がおもしろ可笑しく読んだ記憶から本書を手にすると、意外にも固い内容。それでも読み進むにつれ、ファインマンさんらしい発想やものの見方に引き込まれました。
日本での講演記録ということで、最初に「未来の計算機」を読んだものの、面白くはなし。「スペースシャトル「チャレンジャー号」事故少数派調査報告」の経緯、極めて興味深し。やりますねえ、ファインマンさん。
p201「科学とは何か」の中で触れている、「π」についてのエピソードが面白し。共振回路の周波数の公式にπが使われている理由を考察する件。
「π」があるというのに円はいったいどこにあるんでしょう? みなさんは笑っているけれども、首を傾げた当時の僕は大まじめです。πは円に関係があるはずなのに、ここでは円の代わりに電気回路からπが出てきているじゃありませんか。いま笑った方は、このπがどこから出てきたのかご存じですか?
とにかく僕はこのπが好きでたまらないんですから、どんなことがあっても探し出さなくては気がすみません。さんざん考えたあげくやっと気がついたのは、もちろん、コイルが円の形をしていることでした。それから半年ほどのち、今度は別な本に丸いコイルと四角いコイルのインダクタンスが載っているのを見つけたんですが、その公式にもπが出てきます。以下略
ファインマンさんの考え方がなんともはや。
出版者サイトに解説あり。
p311
謝辞、および初出一覧
「ものごとをつきとめることの喜び」はBBCテレビの番組『ホライゾン』 で"The Pleasure of Finding Things Out"という題で放映されたファインマンへのインタヴューをもとに編集作成したものである。この番組のプロデューサーであるクリストファー・サイクス、およびカール・ファインマン、ミシェル・ファインマンの許可を得て、ここに転載させていただいた。
「未来の計算機」は、仁科記念講演として、一九八五年に出版されたものである。本書への転載は、仁科記念財団の西島和彦教授のご厚意によるものである。
「現代社会での科学的文化の役割とそのありかた」は、 Societa ltaliana di Fisicaの許可を得て転載させていただきました。
「底のほうにはまだ十二分の余地がある」は、もともとカリフォルニア工科大学の"Engineering and Science"誌に掲載されたもので、同誌の許可を得て転載させていただきました。
「科学の価値とは何か」は、リチャード・P・ファインマンがラルフ・レイトンに口述し、出版した『困ります、ファインマンさん』((C)Gweneth Feynman and Ralph Leighton,1988)から、W・W・ノートン社の許可を得て転載させていただきました。
「科学とは何か」は、 The Physics Teacher,vol.9,pp.313-320((C)American Association of PhysicsTeachers,1969)から、同誌の許可を得て転載させていただきました。
「世界一、頭のいい男」は、『オムニ』誌((C)Omni Publications lnternational,1992)の許可を得て転載させていただきました。
「ワン・ツー・スリー、ワン・ツー・スリー」は、『困ります、ファインマンさん』((C)Gweneth Feynman and Ralph Leighton,1988)から、W・W・ノートン社の許可を得て転載させていただきました。
「科学と宗教の関係」は、もともとカリフォルニア工科大学の"Engineering and Science"誌に掲載されたもので、同誌の許可を得て転載させていただきました。
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