[NO.765] 古本でお散歩/ちくま文庫

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古本でお散歩/ちくま文庫
岡崎武志
筑摩書房
2001年7月10日 第1刷発行

 著者にとって最初の文庫本とのこと。しかも書き下ろし。あとがきを読むと、随分と力が入っています。

 内容は、いろいろ。著者のこれまでの歩み、中央線沿線の古書店マップ、関西について等々。

 おやっと思ったのが、村上春樹氏について記した「ジャズ喫茶のマスターとしての村上春樹」。面白いのが、村上春樹氏について掲載している古い雑誌からの引用。以下に挙げてみます。
■「月刊ジャズ」75年5月号
■「村上春樹ブック」文藝春秋
■「ダイヤモンドBOX」85年8月号
■「ジャズ情報の本」82年「ジャズ・ライフ臨時増刊」
■「ジャズの辞典」冬樹社・83年
■「国文学」中上健次と村上春樹特集号 85年3月号
■「カイエ」79年8月号
■「スタジオ・ボイス」83年2月号

 特に最後の「スタジオ・ボイス」では表紙になっており、頭の上に氷を載せている写真(本書に転載されています)。なんでも「羊をめぐる冒険」になぞらえて「氷をめぐる冒険」というタイトルなんだとか。なんともはや。

 次に、おやっと思ったのが、サイト東京紅團に見つけた《村上春樹の世界》神戸、東京のジャズ喫茶を歩くでした。本書についても触れています。重複するところも。
 <jazzLife(昭和57年6月臨時増刊)[神戸編と共通]>として、表紙の写真画像を掲載。失礼ながら、どうも読みにくいところがあったのは、誤植というよりも入力の間違いでしょうか。ひょっとしてOCRによる変換ミスかな。

  ※  ※

 現代詩に学生時代は入れ込んでいたという文章も、よかった。ご自分がリアルタイムでのめり込んでいただけに、読んでいてわくわくした感覚が伝わってきます。本の体裁としても、変形でおもしろい装幀のものが多かったような。
 そうした「形」としての本と中身の詩がまぜこぜになり、きっと岡崎氏の記憶の中にしまわれているのでしょうね。幸せな体験です。