[NO.734] 私の東京万華鏡/ちくま文庫

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私の東京万華鏡/ちくま文庫
川本三郎
写真 武田花
筑摩書房
1999年9月22日 第1刷発行
再読

本書は一九九二年六月、筑摩書房より刊行された。(原題は『東京万華鏡』)

 前回読んだときよりも、いっそう引き込まれた気がします。それはこちらがそれだけ年齢を重ねたこともあるでしょうが、なにより実際に町歩きをした経験が作用しているのでしょう。
 一人での町歩き、いいですねえ。一番の特徴は、これらの書かれたのがバブル全盛期だったこと。その昔、福永武彦氏が1964年東京オリンピック開催のとき、喧騒を逃れるために東京を脱したのだと書いていた紀行文を思い出しました。

目次

プロローグ

水の街、東京
 記憶の中の「自然」――多摩川
 下町らしさを求めて――幻の柳橋
 川のこちらと向こうがわ――橋を渡って向こうの町へ
 別の東京が見えてくる――空から見ると海から見ると

私の散歩道
 墓地は都会の散歩道――青山、染井、雑司ヶ谷
 山の手の子どもたちの故郷――原っぱ
 下町と山の手がぶつかる坂と崖のある町――谷中、本郷、麻布
 都営新宿線は、私だけの名所に連れていってくれる――浜町、森下町、大島
 下町と相撲は相性がいい――蔵前、両国、小岩、阿佐谷
 知らない町の知らない居酒屋で――私流"場末風流"

東京には夢がある
 江戸東京銀幕観察――映画の記憶の中の東京
 山内選手が町にやってきた!――野球に夢中だったころ
 変わりゆく街の観察者――高見順の描いた東京
 映画に見る東京地理学――サミュエル・フラーの『東京暗黒街 竹の家』
 焼け跡の人間模様――『君の名は』の東京地理学

町中のランドマーク
 街角から見上げる都市の遺跡――東京タワー
 アパートの時代の東京
 もうひとつ別の都市空間――地下街、地下道、地下鉄
 東京のなかの『まんが道』――深川から椎名町トキワ荘
 ささやかな湯の楽しみ――銭湯は小さな町のシンボルだった

あとがき
解説 私の『東京(?)地図』片岡真由美