新版大東京案内 上/ちくま学芸文庫 今和次郎 編纂 筑摩書房 2001年10月10日 第1刷発行 |
p5「凡例」によれば、本書は『新版大東京案内』(昭和四年十二月、中央公論社刊)を低本とした。とあります。
関東大震災以後の復興期です。考現学で有名な今和次郎氏とそのグループがまとめた本。対象の選び方が面白い。軍事施設など、現代では到底考えられません。白黒ながらも掲載されている写真も興味深いものが多い。予想外に良かったのが、広告でした。原本にも載っていたものでしょうか。当時の社会風俗を知る手がかりにもなります。
上巻である本書、冒頭には当時の地図が3枚掲載されています。なかなかなもの。おやっと思ったのは、みな方角でいうと西が上になっていること。現代では地図の上は北です。90度左回転させると、現代で見慣れた地図と同じになります。回転させている理由は?
「盛り場」としてあげてあるのが、銀座、浅草、神楽坂、新宿、上野、人形町界隈、道玄坂の7カ所。神楽坂と人形町界隈が入っているのが素敵です。
また、それぞれの盛り場での飲食店を実名挙げて解説までしています。
おやっと思ったことに、(p211)浅草で「簡易食堂」として挙げている店名として、野口食堂、須田町食堂、ヤマニバー、三友軒、ホマレ亭、巴バー、本郷バー、タツミ食堂がありました。この中にある「ヤマニバー」が目をひきました。その昔、高円寺あづま通りに「マスニバー」という、とんでもなく魅力的なお店があったことを思い出したのです。
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