村上ソングズ 村上春樹 和田誠 中央公論新社 2007年12月10日 初版発行 |
いいのだか、悪いのだか。こういう本を出版できるということは、ベストセラーを当てたからなのでしょうね。いわゆるネームバリューといっていいのかも。
p6 まえがきから引用
ひとことでいえばこれは、和田さんと僕が個人的な趣味を寄せ合ってこしらえた、あくまで趣味的な本ということになるかもしれない。趣味的という表現はあまりイメージがよくないみたいだが、しかしそれぞれにかなり手間と元手をかけた「趣味」なので、自分で言うのもなにだけど、けっこう気合いは入っていると思 う。僕としても、和田さ(ママ)としても、この本を通して読者の皆さんとひととき「趣味」をともにすることができたとしたら、それにまさる喜びはない。そ ういうささやかな交流こそが、我々の目指したものである。
極めて偏った選曲です。村上氏の年代から推測してみても。
p160
ビ リー・エクスタイン系の黒人男性歌手アーサー・プライソックが、カウント・ベイシー楽団と共演したヴァーヴ盤で、僕はこの「よそには行かないで」という曲に巡り合った。このLPを買ったのは高校二年生のときで、1960年代半ば、クラスのみんながビートルズやらストーンズやらに夢中になっている隣で、一人こういう音楽にじくじく(「じくじく」に傍点)としびれまくっていた。少年の頃からいくぶんへそ曲がり(というか、他人とはいくぶん違う道を好んで歩む性 格)であったのかもしれない。誰を責めることもできないのだけれど。
かといって、1998年エルビス・コステロ作詞・バート・バカラック作曲なんて曲を紹介するあたりが面白いのかもしれません。(p70)
・ぼくは無類の「井戸好き」(p119)
・羊くん(ミスター・シープ)(p142)
などと、さりげなく読者サービスをしてくれてもいます。コアなファンが喜ぶのは、こういうところです。
読後、ビーチ・ボーイズを聞きたくなり、巻頭「God only Knows(神様しか知らない)」を探しだし、VTRで『M*A*S*H』(p112「自殺をすれば痛みは消える」)も見つけました。なんだかなあ。
本書で紹介されていた曲を、ネット上から試聴できるサイトを紹介しているページがありました。こちら。なるほど、これなら著作権にも抵触しません。
目次
神さましか知らない
幸福とはジョーという名の男
人生のイミテーション
ニューヨークの秋
ムーンライト・ドライブ
ブルーに生まれついて
ジーン
中国行きのスロウ・ボート
イングリッド・バーグマンの歌
ブルー・モンク(修行はつらい)
この家は今は空っぽだ
バッチズ
眠る蜂
オキナワに戻るよ
自活する子供を神は祝福する
さよならを言うたびに
ガルヴェストン
自殺をすれば痛みは消える
孤独は井戸
生きているうちにしたいこと
ミス・オーティスは残念ながら
酒とバラの日々
羊くん(ミスター・シープ)
1957年のディズニー・ガールズ
五時のホイッスル
よそには行かないで
ステート・トゥルーパー
バン・バン(和田誠訳)
誰にも奪えない(和田誠訳)
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