〈子ども〉のための哲学/講談社現代新書1301 永井均 講談社 1996年5月20日 第1刷発行 再読 |
p208
ぼくはこの本を、そんなふうに哲学を利用しようとするひとたちのために書いたのではない。自分自身の〈子ども〉の驚きから出発して、みずから哲学をしようとするひと、せざるをえないひとのために書いたのだ。......
まるで、中島敦がいうところの「狼疾(ろうしつ)」ですねえ。
目次
はじめに
問いの前に〈子ども〉のための哲学とは?
哲学とは/子どもは哲学する/ぼくの子ども時代の哲学的思索/「なぜ悪いことをしてはいけないか」と「なぜぼくは存在するのか」/青年の哲学・大人の哲学・老人の哲学/〈子ども〉の哲学のすすめ
第一の問い なぜぼくは存在するのか
一 独我論をめぐって
ものごころ/問題の中身/作文に書いた話/ロボットの疑惑/友人に語った話
二 ぼくのほんとうの問題
問題はなぜすりかえられたか/ほんとうの問題/ぼくが存在しない二種類の状況/ぼくの考え出した答え/新たな問題
三 ふりだしにもどった問題
大切に生きること/奇跡と偶然そしてふたたび独我論/第二ラウンドの開始とウィトゲンシュタインとの出会い/独在性と単独性
四 魂の存在証明とその次のステップ
もう一人のぼく/個別化された脱人格的自我/自我同一性に関する「ウィリアムズ・永井・榑林(くればやし)説」/世界の複数制と唯一性
五 哲学の集結
独我論と独在性/独在性と言語ゲーム/二つの批判と哲学の意味
問いの合間に 上げ底と副産物
哲学上の友と敵/哲学は上げ底を埋める/いくつかの副産物/死・今・自由・実存
第二の問い なぜ悪いことをしてはいけないのか
一 もう一つの問題
問題のはじまり/好いと善い、嫌なと悪い/ぼくのほんとうの問題/授業中におしゃべりをしてはいけない/善いことをする動機の問題
二 だれも教えてくれなかったこと
道徳の限界/人間はみんな利己主義者か/大人の立場から/子どもの立場から
三 まやかしの必要性
つりあいの善さ/言葉の問題/倫理学への失望/ニーチェと青年の哲学
四 ぼくが感じていた問題のほんとうの意味
二つの文体/〈子ども〉の哲学者ニーチェの洞察/倫理学と実在論/〈子ども〉の哲学者ニーチェの不幸/ぼくが感じていた問題の真の意味/第一の問いとのつながり
問いの後に 哲学とは?
哲学に対する二つの態度/〈哲学〉と「哲学」/哲学と思想/子ども、青年、大人、老人/哲学のすすめ
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