本道楽 中野三敏 講談社 2003年7月14日 第1刷発行 |
こんなにも端的にして魅力的な書名がほかにあるでしょうか。
無頼派の私小説家に憧れたという若き日から書き起こし、自伝の形をとりつつも中身は膨大な和本とのあれこれ。著者は昭和10年生まれですから昭和30年 前後のことでしょうか。それまでの小説家になる夢をあきらめ、近世文学を専攻する研究者の道へ歩み出したのは。
そこから始まる研究生活の中で出会った和本との出来事の数々。面白くて、いったん読み出してしまうと止められませんでした。
時代も良かったのでしょう。人脈がすごいのです。有名人が続出。詳しい経緯までは書かれていませんが、そういった泰斗から薫陶を受けた様子が実に面白く読めます。
神保町界隈の古書店へ入ってはみたものの、主人が怖くて手が出せないという記述を読むと嬉しくなってしまいました。10代のころ、巌松堂入り口までの階段に抵抗あったことを思い出しました。
本書の装丁や造本もいいものです。表紙裏にある金の挿絵はなかなかなもの。
目次だけでも写しておこうかと思ったところ、先達がおられました。勝手ながら、こちらにリンクさせていただきます。
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