[NO.612] 世界文学全集

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世界文学全集
矢口進也
トパーズプレス
1997年10月25日 第1刷

 世界文学全集というのは日本独特のものって、本当なのでしょうかねえ。本書の説明にはそうありましたが。

 現代ではほとんど滅んでしまったような「世界文学全集」。これまでに出版された内容を概観しながらエピソードをちりばめてあります。明治期の二葉亭あた りから戦後のブームまで、読んでいて飽きません。著者は元図書新聞の副編集長だった方、それだけに守備範囲が広く内容も詳細。
 たしかに文庫でそろえれば数千円になる大作が、世界文学全集の端本では2、3百円で買えることがあります。

 本書のすごいところは、「第3章世界文学全集総観(戦後編)」として、出版社別に目録が付いているところ。河出書房。新潮社、三笠書房、筑摩書房、平凡社、中央公論社、集英社、講談社、学習研究社。
 もちろん巻末には、世界文学全集刊行年表・目録索引、全集索引、人名・作品名索引が掲載されています。


 世界文学全集(池澤夏樹個人編集、河出書房新社)が話題になっています。そこで、雑誌『文学界』2008年2月号を読んでみました。特集「座談会、池澤 夏樹×鴻巣友季子×沼野充義『世界文学は越境する』」が掲載されています。池澤氏の個人編集版「世界文学全集」をめぐる座談会。しかし、どうもぴんとこな い内容。むしろ「座談会、阿川弘之×大久保房男『文学の鬼』」の方が面白かったくらいです。