直筆で読む「坊ちゃん」/集英社ヴィジュアル版006V 夏目漱石 集英社 2007年10月22日 第1刷発行 |
書評などで話題になってたので手を出しましたが、とても通読はできませんでした。「坊ちゃん」自体は活字で何度も読んでいましたから、ぱっと見でもどのあたりなのか検討が付くことはつくのですが、それでも読みにくかったです。
いいわけになりますが、旧仮名遣いは苦ではありません。それよりも、本書での表記の違いかもしれません。全部ではありませんが漢字の「学」が新字だったり、平仮名の「か」や「な」が草書だったりします。
ものを知らないので何ともいえませんが、決定稿にしては推敲のあとが多く感じました。すらすらと短い日数で書いたのではなかったでしたっけ?
『自筆原稿を「読む」たのしみ』(秋山豊)、『読めなかった祖父の直筆原稿』(夏目房之介)が付いています。
秋山氏がいうには、今日までにこの原稿を生の形で読んだ人は何人くらいいるだろうか、という件に対して、6人くらいではないかといいます。昭和45年に 番町書房から2000部刊行されたという複製版(当時の価格で3万円)があったことを除けばという条件を出したとしても、たったの6人。このあたりの記 述、スリリングです。
お孫さんの夏目房之介氏は石川九楊氏の書かれたものを援用しつつ、安部公房、中上健次、石原慎太郎、河竹黙阿弥、樋口一葉、内村鑑三の原稿と比較しています。
ワープロが普及しだしたときに、漢字を忘れるなどというのはもとより、文体が変化するだろう、と大きく取り上げられたことがありました。それが、フロッピー入稿そころか、今やオンラインがあたりまえのようになってしまいました。
こんな本が売れるというのも面白い時代です。これからは青木正美氏の大切にしてきた生原稿が大きな意味をもつのでしょうか。
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