[NO.572] タイムスリップ・コンビナート

timeslipkombinat.jpg

タイムスリップ・コンビナート
笙野頼子
文藝春秋
1994年9月20日 第1刷

 未読でした。久々の文芸書。1994年前期芥川賞受賞作。今、読んでみてとりたてて前衛的云々とも思えず。(当時であっても、そうだったのではないで しょうか)。この手の小説は、いつの時代でもありそうです。ただし、初出誌『文學界』に出たときには、どうだったのかと想像すると面白そう。
 冒頭を引用します。
 去年の夏頃の話である。マグロと恋愛する夢を見て悩んでいたある日、当のマグロともスーパージェッターとも判らんやつからいきなり電話がかかって来て、ともかくどこかへ出掛けろとしつこく言い、結局、海芝浦という駅に行かされる羽目になった。

 些末的なところで、「スーパージェッター」にはビックリ。「ブレードランナー」「レプリカント」を出しても、サブカルとして認知されていますから受け入 れられやすいでしょう。しかし、「スーパージェッター」ではねえ。西武新宿線「都立家政」駅を出すことよりも、もっと違和感がありました。
 もっとも、「海芝浦」の方が有名になってしまいましたが。