誤植読本 高橋輝次 著 東京書籍 刊 2000年7月28日 第1刷発行 |
誤植とはおそろしきもの。p62澁澤龍彦「校正について」のページに、鉛筆で書き込みがありました。単なる落書きではありません。
抜粋します。
それからまた、すべてを広辞苑に基づいて判断するというのも、困った傾向である。私が「膝まづく」と書くと、「脆く」ではないかと疑問符を付されることが多い。広辞苑には「脆く」しか出ていないからだ。
書き込みは訴えます。「脆い」は「もろい」と読み、「跪く」が正しいと。最初に目にしたときには、そのあまりのできすぎに、意図的に構成されたギャグではないかと思ったほどでした。おそるべし、誤植。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
目次
I 誤植打ち明け話
外山滋比古「校正畏るべし」
中村真一郎「誤植の話」
藤沢桓夫「誤植の話」
稲垣達郎「誤記、誤植、校訂」
河野多恵子「誤植」
竹西寛子「誤字」/「思いやり」
森まゆみ「誤植さがしの昼下り」
黒川博行「誤植」
泉 麻人「屈と庇」
中山信如「屁の街」
Ⅱ 著者の眼・編集者の眼
生方敏郎「校正」
小林 勇「校正」
杉森久英「校正恐るべし」
埴谷雄高「校正」
澁澤龍彦「校正について」
宮尾登美子「校正」
藤田宜永「校閲者に感謝」
山田宗睦「校正のレファレンス」
高橋輝次「冷や汗をかく編集者」
鶴ヶ谷真一「苦い思い出」
Ⅲ 誤植・校正をめぐる思索
大岡 信「校正とは交差することと見つけたり」
長田 弘「苦い指」
花田清輝「微妙な問題」
山口誓子「校正の話」
富安風生「僕のらくがき」
土岐善麿「活字について」
森 銑三「誤植」
中井久夫「校正について」
林 哲夫「錯覚イケナイ、ヨク見ルヨロシ」
Ⅳ 近代作家の誤植・校正
尾崎紅葉「十七校」
森 鴎外「鸚鵡石」
斎藤茂吉「鴎外全集の校正寸言」
内田百聞「十三号室」
西島九州男「『漱石全集』のことなど」
佐藤春夫「誤植といふもの」
井伏鱒二「満身瘡痍」
Ⅴ 校正の風景
石川欣一「校正」
相澤 正「校正を詠む」
吉村 昭「刑務所通い」
串田孫一「校正」
永井龍男「心の用意 庄野潤三について」
市島春城「校正難」
天沼俊一「校正」
紀田順一郎「行間を縫う話」
野々村一雄「校正と索引つくり」
森 洋子「凡人は校正地獄へ行く?」
高橋英夫「興味深いこと」
あとがきに代えて
底本一覧
執筆者紹介
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
底本一覧
I 誤植打ち明け話
外山滋比古『ことばの四季』中公文庫・平成元年
中村真一郎『氷花の詩』冬樹社・昭和46年
藤沢桓夫『随筆人生座談』講談社・昭和56年
稲垣達郎『角鹿の蟹』筑摩書房・昭和55年
河野多恵子『文学の奇蹟』河出書房新社・昭和49年
竹西寛子『ひとつとや 続』毎日新聞社・昭和59年/『朝の公園』読売新聞社・平成3年
森まゆみ『その日暮らし』みすず書房・平成12年
黒川博行『よめはんの人類学』ブレーンセンター・平成10年
泉 麻人『コラムダス』新潮文庫・平成9年
中山信如(書下ろし)
Ⅱ 著者の眼・編集者の眼
生方敏郎『書斎と読書』三省堂・昭和16年
小林 勇『遠い足音』文藝春秋・昭和30年
杉森久英『仕事部屋』こつう豆本95 日本古書通信社・平成3年
埴谷雄高『兜と冥府』未来社・昭和45年
澁澤龍彦『都心ノ病院ニテ幻覚ヲ見タルコト』立風書房・平成2年
宮尾登美子『つむぎの糸』新潮文庫・昭和58年
藤田宜永『深夜の少年』河出書房新社・平成8年
山田宗睦『職業としての編集者』二二新書・平成8年
高橋輝次(書下ろし)
鶴ヶ谷真一(書下ろし)
Ⅲ 誤植・校正をめぐる思索
大岡 信『光のくだもの』小学館・平成4年
長田 弘『笑う詩人』人文書院・昭和64年
花田清輝『冒険と日和見』創樹社・昭和46年
山口誓子『海の庭』第一書房・昭和17年
土岐善麿『斜面方丈記』春秋社・昭和32年
森 銑三『書物』(柴田宵曲と共著)岩波文庫・平成9年
中井久夫(書下ろし)
林 哲夫(書下ろし)
Ⅵ 近代作家の誤植・校正
尾崎紅葉『草紅葉』冨山房・明治36年
森 鴎外『鴎外全集26巻』岩波書店・昭和48年
斎藤茂吉『斎藤茂吉全集6巻』岩波書店・昭和49年
内田百聞『有頂天』中央公論社・昭和11年
西島九州男『校正夜話』日本エディタースクール出版部・昭和57年
佐藤春夫『続・白雲去来』筑摩書房∵昭和31年
井伏鱒二『本日休診』文藝春秋新社・昭和25年
Ⅴ 校正の風景
石川欣一『むだ話』春陽堂・大正15年
相澤 正『相澤正歌集』白玉書房・昭和29年
吉村 昭『月夜の記憶』講談社文庫・平成2年
串田孫一『虹を見た夕暮』メディアファクトリー・平成6年
永井龍男『ネクタイの幅』講談社・昭和50年
市島寿城『春城談叢』千歳書房・昭和17年
天沼俊一『成蟲棲随筆』一條書房・昭和18年
紀田順一郎『読書人の周辺』実業之日本社・昭和54年
野々村一雄『学者商売』新評論・昭和52年
森 洋子『図書新聞』平成6年8月27日号
高橋英夫(書下ろし)
コメント