[NO.513] 今ここ

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今ここ
藤枝静男
講談社
1996年5月30日 第1刷発行

p92
 いろいろのことがあったし、いろいろのことがある。『今ここ』とときどき思うが、今ここには何もありはしない。ただ何だか知れぬが頻りにそういうような変な気がするだけだ。中味なんかない。
「群像」一九八五年九月号


出版社/著者からの内容紹介
昭和30年代、7年間連載された新発見の随筆「静男巷談」を中心に、小説、エッセイなど単行本未収録作品を集大成

だそうです。戦後すぐ1948年の文章の次に並んでいるのが1984年の作品だったりするので、何とも不思議な気分で読みました。
 上記、新発見の随筆というのは「浜松百撰」一九五七年十二月創刊号から一九六四年十二月号まで毎号連載されたものだそうです。
 娘さんの話や飼っていた子犬、お孫さんのハムスターについて新鮮でした。
 第八高等学校で出会った二人についての話は、何度読んでもいい気がしました。それにしても、晩年は本多秋五氏や娘さんのこともわからなくなってしまっていたというのは、本当だったのですね。