『坊ちゃん』の時代 第二部/秋の舞姫/アクションコミックス 著者 関川夏央・谷口ジロー 双葉社 1989年10月28日 第1刷発行 1997年10月22日 第7刷発行 |
『坊ちゃん』の時代シリーズの第2作目。1作目に比べて密度が薄くなった気がしました。タイトルのとおり、森鴎外と「舞姫」のモデルともいわれるエリス嬢との間を中心に、数多くの有名人がからみながら話は進みます。
世評では、この「秋の舞姫」のエリス嬢に対する評判が高かったようですが、どうもピンときませんでした。現実には鴎外自身と対面したことも無かったので は? 次郎長まで出てくるあまりにも荒唐無稽な筋に、一度創作くさいなと感じてしまってからは面白く読めませんでした。1作目に比べ、ストーリーが単調 だったせいでしょうか。
家長としての鴎外が背負っていた重みは、現代では理解できないでしょうね。戦後すぐに家父長制度が解体されたとはいえ、人々の慣習からしばらくは消滅し なかったはずです。これまでの家という概念が感覚的に理解できなくなったのは、いつごろからだったのでしょう?
鴎外が背負っていたという、二つ目の重荷、日本の近代化と西洋との関係。こちらの方が、読んでいて切実でした。たまたま同時並行で読んでいるのが『「日 本人論」再考』(船曳建夫/日本放送出版協会)と『「坂の上の雲」と日本人』(関川夏央/文藝春秋)だったからかもしれません。
p74
いちかけにかけて/さんかけて/しかけて/ごかけて/はしをかけ/はーしのらんかん/こしかけて/はるかむこうを/ながむれば/
九段坂の途中、むしろの上にお手玉で遊ぶ4人の女の子が歌っている歌詞に注目。小さいころ、明治生まれの祖母に教わりました。さすがにこの歌に歌われている西南戦争より後年の生まれです。
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