洞窟オジさん/荒野の43年 著者 加村一馬 取材・構成 祓川学 撮影 山口昌彦 編集 小笠原喜一(女性セブン編集部) 小学館 2004年5月10日 初版第1刷発行 |
人生のほとんどを洞窟で過ごした男の物語
加村一馬、昭和21年8月31日生まれ。群馬県大間々町(現:みどり市)出身。68才。
昭和35年、当時13才だった少年は「両親から逃げたくて」愛犬シロを連れて家出した。以来、彼はたったひとりで誰にも知られることなく、足尾鉱山の洞窟、富士の樹海などの山野で暮らし、イノシシやシカ、ヘビにネズミ、コウモリ、野ウサギなどを食らい命をつないできた。発見された時、少年は57才になっていた-- 出版社サイトの紹介 リンク、こちら
先日読んだ、NO.436『甘茶日記』(中野翠著、毎日新聞社)に紹介がありました。ライターである著者の聞き書きなので読みやすく、かなりのハイペースで一気に読了しました。個人的には、ここに表れていない部分に興味がわいてしまいました。
昭和35年、中学生のときに家出をして足尾鉱山へ。その後、新潟、福島、山梨の山中を徘徊。結局、最後は茨城県の小貝川近辺が住みよかったのでしょうか。途中、何度も山を下りては町中に出てきており、埼玉で(?)兄と遭遇したあとは半年程度も飯場生活もしたようです。
なるほどと思ったのは、逮捕されたときに胃潰瘍を患っていたこと。体が丈夫であっても、胃潰瘍にはなるのでしょうか。
中野翠氏も、やっぱり、と書いていましたが、その後は元の生活に戻ってしまったとのことです。定住することは難しかったのでしょう。
日本が高度成長を遂げている期間を、まるでタイムカプセルに凍結されていたように経験していなかっただけに、逮捕されてからの描写が面白く書かれていま す。エレベーターや水洗トイレを知らないことなど、浦島太郎状態のギャップがいくつも出てきます。確かに携帯電話など夢物語みたいでしょう。
巻末には、特別付録として、「洞窟オジさんのサバイバル術」がイラスト付きでまとめられています。人里離れた山中を放浪していたことが、この方の特徴な のでしょう。その点で違和感を覚えました。つまり、山中生活だったらサバイバルでしょうけれど、関東平野の真ん中での橋の下暮らしでは、これはホームレスと呼ばれる人々と何ら変わりがない気がします。せっかく社会復帰したにもかかわらず、1年後くらいで元の生活に戻ってしまったといいますが、その後は、どうしているのでしょうか。
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