ふふふ 井上ひさし 講談社 2005年12月1日 第1刷発行 |
久しぶりに読む、井上ひさし氏のエッセイでした。野球と政治についてが多くを占める内容ですが、やはり井上ひさし氏、うーむというところがいくつもありました。
注目は、p100「てんぷくトリオ」と題した文章です。その当時、日本テレビにいた井原高忠氏に勧められ、井上ひさし氏が座付作者(いい響きです)になった経緯が記されていま す。そういえば、井上ひさし氏には『井上ひさし笑劇全集上・下』(講談社文庫)という本がありました。我が家の本棚のどこかに埋もれているはずです。井原高忠氏やてんぷくトリオについては、小林信彦氏もエッセイにしばしば書かれていました。てんぷくトリオの3人の中で、今も存命なのは伊東四朗氏のみになってしまいました。
p226「ロバートの規則」というのも新鮮でした。『ロバート議事規則』(安藤仁介訳、ロバート議事規則研究所刊)なる本があるのだそうです。ちっとも知りませんでした。現在、世界のいたるところで、あらゆる会議が、このロバート規則を金科玉条にして進められている、いわば「世界の議事法典」なのだとか。紹介されている抜粋を読むだけで、驚きます。どうやら、この本、8000円以上もする分厚いもので、解説本もあるようです。どうして、こういうことが、もっと広く知られていないのでしょうか。民主主義云々をいう前に、こういうことが大切なのですね。
他にも、辞書の万引きを諭された話やアメリカ、フランスでの入試の例など、なるほどと思いました。
初出誌が「小説現代」2001年1月号~2005年1月号(途中休載を挟んでの連載分)とのこと。休載の理由はなんだったのでしょうか。最近の井上氏の動向に疎いものでして。熱烈なファンの多い井上さん。
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