古本マニア雑学ノート[2冊目]/愛と古書と青春の日々 唐沢俊一 ダイヤモンド社 1998年1月30日 初版発行 |
古本マニアの唐沢俊一さんによる古本にまつわるエッセイ集です。
実際の古書店巡りでの逸話が面白い。
p46~「●一等席は左側の一番奥」というタイトルでいっていることが目をひきました。初めての古本屋で、まず、目玉本を探せ、なんだそうです。その場所は題名にあるとおり、左奥の棚。店主の目が届く場所でもあるといいます。ハイ、納得です。
続けていっていることが、さらに可笑しいのです。そういう棚の本の種類は、店主の年齢で区別できるというのです。
以下引用。
p48
中央線沿線あたり、あるいは渋谷近辺のそういう小さな古書店で、主人が四〇代くらいだと、目玉の棚にはミステリ、SF系が多い。一番、そういう本が高かっ た時代に古書店を開いたであろう人たちである。五〇代だと、そこは初版本、サイン本コーナーである。第三の新人といわれた吉行淳之介や遠藤周作、安岡幸太 郎などの初版本があこがれだった時代に古書店主になったと思われる。六〇より上だと、明治関係の書籍が多い。
これが三〇代くらいの古書店主だと、もう、決まったようにサブカル、オカルト関連の本である。荒俣宏などに触発されて、幻想文学を買いあさった世代が古本屋になりはじめているんだろうなあ、と思う。僕が古書店をやっても、きっとそうなるだろう。やはり、人間、若いうちのインプリンティング(意識下の刷 り込み)からは抜け出せないものだ。自分が古書集めをしていたころの流行のものを、無意識に自分の店の目玉の棚に置きたがるのである。
貸本屋あがりの本を入手した際、虫食いと日焼けでボロボロになっていたその本が、"ガサッ"という感触と共に、手の中で砕け、粉々に散り、塵となって床に積もってしまったのだそうです。思わず、「ご苦労さま」とつぶやいたのだとも。なんだか、出来過ぎって気もするなあ。盛ってないか?(笑)
唐沢氏いわく、本はまるごと愛することが大切。貸本屋の本なら、汚いのが当たり前。そのままの状態で愛せよ、といいます。そりゃ賛成。
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