[NO.414] 老いてはカメラにしたがえ

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老いてはカメラにしたがえ
赤瀬川原平
実業之日本社
2002年4月25日 初版第1刷

 もっとカメラに密着した内容かと思ったのに、出かけた折々で写した「写真」に関するエッセイが中心でした。純粋にカメラについて書かれた本ではありません。でも、それなりに読ませてしまう赤瀬川氏のエッセイ。

p7
可愛い点線
 むかしから、老いてはカメラにしたがえ、といわれる。あるいは可愛(かわい)いカメラには旅をさせよ、ともいわれている。
 いざ書いてみて、ちょっと違うような気もするが、大きな間違いではないだろう。
 人間はカメラが好きである。人間の全員ではないかもしれないが、ぼくは好きだ。いくつか持っていて、家にだけ置いていてもしょうがないので、カメラにはときどき旅をさせる。
 もちろん自分もいっしょについて行く。
 カメラとともに歩いていると、ふつうに歩くのとはちょっと違う。せっかくカメラがいっしょなのだからと、つい何か撮りたくなる。物を見る意欲が湧いてくるわけで、物から物と見て歩きながら、足はつい疲れを忘れている。ウォーキングにはなかなかよろしい。


p255
 カメラ中心に出かけるのは、ぼくの場合路上観察学会での遠征。それとライカ同盟。もう一つ日本美術応援団もある。
 
上記3団体は、どれも関連書が出ており、楽しいものばかり。

p256
本書は「週刊小説」('001月14日号~'01年12月28日号)に連載されたものを構成したものです。