[NO.356] 国家の罠/外務省のラスプーチンと呼ばれて

kokanowana.jpg

国家の罠/外務省のラスプーチンと呼ばれて
佐藤優
新潮社
2005年3月25日 発行
2005年4月5日  2刷

 著者が逮捕されたこともあって、出版時には話題になりました。相当売れもしました。今ころになって読んでいると、当時のニュース映像や新聞等での報道が蘇りました。毀誉褒貶の激しい印象があっただけに、読後感は何とも言えず。著者の熱い思いで書かれているのですが、ところどころで立ち止まらざるを得ない場面も。

 取り調べのときに、担当検事が(これは)「国策捜査」だと発言したといいます。その理由を分析して、「ケインズ型公平配分路線からハイエク型傾斜配分路線への転換」と「外交における地政学的国際協調主義から排外主義的ナショナリズムへの転換」が、行われたことによるのだとのこと。
 26年後には、情報公開によって、どちらの側が正しかったのかがはっきりするだろうともいっています。おそらく2030年ころでしょうか。アメリカのように、日本でもそうした公開って、守られるのでしょうか。

 塀の中での様子、食事のメニューなどが目新しく思いました。60冊以上大学ノートをとり、ヘーゲルを読む生活だったといいます。なんだか、戦前のようです。