[NO.333] そんなに読んで、どうするの?/縦横無尽のブックガイド

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そんなに読んで、どうするの?/縦横無尽のブックガイド
豊崎由美
アスペクト
2005年12月9日 第1版第1刷発行

 あとがきのサブタイトルが気に入りました。「此処ではない何処かにいる、自分ではない誰かへ」。

「そんなに読んで、どうするの?」
 電車に乗った後で読むものを持っていないことに気づくとにわかに不安になる――その程度の活字中毒者なら、これまでの人生の中で親や友達や恋人からそう訊ねられたことが一度や二度はあるはずです。


 その答えとして、次のように挙げています。

 人間を非・理解の不幸なループから救うのは、想像力です。そして本を読むという行為は、想像力を培うのにもっとも有効な手だてなのです。
「そんなに読んで、どうするの?」
 今度訊かれたら、こう答えたいと思います。
「想像力っていう、強いチカラを身につけんの」
 この本が、此処ではない何処かにいる、自分ではない誰かに届いて、一人でも小説を好きになってくれる人が増えたら、それにまさる歓びはありません。

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