[NO.326] 三人の"八高生"/平野謙・本多秋五・藤枝静男

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三人の"八高生"/平野謙・本多秋五・藤枝静男
小堀用一朗 著
鷹書房弓プレス 刊
平成10年11月20日 初版発行

目次
旧制高等学校の終焉
第八高等学校
大学進学
本多秋五の生家
"世田谷"時代
「現代文学」
作家藤枝静男
昭和三十年代
"二人"の八高生
"一人"の八高生

 著者は巻末の略歴に書いてないのですが、本文を読み進むと本多秋五の姉がご自身の母にあたるというご関係でした。本多秋五が著者の家に寄宿していたこと があり、平野謙が訪れたこともあったそうです。したがって、著者自身の記憶や親族から聞いたエピソードなども多数出てきます。

 著者ご自身も旧制府立高校の出身だそうですが、最初に旧制高等学校の詳しい説明や時代背景から説き起こされています。旧制帝大の入学定員の方が、旧制高校の卒業者数よりも多かったのですね。

p23
 大正十五年(昭和元年)四月に旧制第八高等学校に入学した平野謙には、同級に本多秋五、寮の同室に藤枝静男がいた。こういう同級生と同室生という生涯の友を得たことを、平野は後に自分の数少ない浄福の一つだと云う。