[NO.285] 架空の町 書物の王国①

00.jpg

架空の町 書物の王国①
著者 J・L・ボルヘスほか
株式会社国書刊行会
1997年10月11日 初版第一刷印刷
1997年10月15日 初版第一刷発行

武陵桃林(陶淵明)
青銅の町の綺談
眠れる都市(シュウォッブ)
眠い町(小川未明)
見知らぬ国(スティーヴンソン)
ドゥンデヤ諸島(マンデヴィル)
アク族の国にて(ミショー)
蟻走痒感(安西冬衛)
鐘楼の悪魔(ポオ)
倫敦の話(ダンセイニ)
薄い街(稲垣足穂)
サルナスをみまった災厄(ラヴクラフト)
トーレン、ウクバール、オルビス・テルティウス(ボルヘス)
遠近法(山尾悠子)
申陽洞記(瞿宗吉)
夢路の風車(井原西鶴)
ロンジュモーの囚人たち(レオン・ブロワ)
ママゴト(城昌幸)
街(チェスタトン)
猫町(萩原朔太郎)
猫町紀行(つげ義春)
街の中にタイムトンネルを見つけた(中井英夫)
N(マッケン)
高桟敷(泉鏡花)
闇の路地(ジャン・レイ)
幸福の島(ブリニウス)

p219『解題/この世の外ならどこへでも/東 雅夫』が秀逸でした。

 朔太郎の「猫町」に続いて、つげ義春氏の「猫町紀行」、さらに中井英夫氏の「町の中にタイムトンネルを見つけた」とだめ押し。というのも、中井氏のこの作品は、冒頭に「猫町」について触れているのです。
以下引用
p142
 この地上を歩いていて、ふいとどこか見知らぬ世界に出てしまう、その入り口。
 たとえば萩原朔太郎の「猫町」のように、あるいはキャロルの「鏡の国のアリス」のように、見なれた何かがぜんぶ裏返しになり、異形の姿となって語りかける世界は、しかし物語の中にばかりあるわけではない。