[NO.261] はじめてわかる国語

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はじめてわかる国語
清水義範 西原理恵子
講談社
2002年12月16日 第1刷発行

p106
 約五五年前に当用漢字表が作れら、約二〇年前に常用漢字表が改訂された。そのわけは何なのだ、というところに話を戻す。
 実はその時に、国語改革ということが行われたのである。そしてその国語改革というのは、かなりひどいものだったらしい。
 だが、ここで私がそのひどさを説明しても、私はそのひどい改革の犠牲者なのだから説得力がない。ひどく変えられてしまう前の、正しい日本語への知識が乏しいのである。
 だから、それについてとても勉強になる、いい本を紹介しておこう。
「国語改革を批判する」丸谷才一編著(中公文庫)という本は、問題点が非常にわかりやすくまとめられた名著である。もとは中央公論社の「日本語の世界」というシリーズの16巻「国語改革を批判する」(一九八三年刊)という本だったものが、一九九九年に文庫化されたものだ。
 だが、近頃は文庫の寿命も短いので、手に入りにくいかもしれない。
 それならば二〇〇一年十月に出た「漢字と日本人」という新書を推薦しよう。高島俊男著、文春新書、である。この本は、私が二〇〇一年に読んだ本の中でいちばん面白かった名著である。
 こんなところで高島俊男氏の名前が出てきたのでびっくり。冷静に考えれば、清水義範氏なのだから当然といえば当然でした。

【目次
第1話 国語って正体不明の学科だった
第2話 国語入試問題必敗法
第3話 たまには生々しい話を
第4話 悩ましきかな漢字
第5話 どう書きゃいいのだ日本語
補習 漢字と日本人のなやましい関係(ゲスト 高島俊男)
第6話 話すこと、聞くこと
第7話 あの歌はこんな意味だった
第8話 挨拶は丁重に
第9話 谷崎 『文章読本』 の功罪
補習 文章読本の真相(ゲスト 斎藤美奈子)
第10話 日本語は滅んでしまうのか

 相変わらず、紹介する入試問題へのアプローチは特色があります。とりわけ、「谷崎の文章読本」をネタに文章読本を論じた文章が読ませます。『文章読本さん江の著者である斎藤美奈子氏との対談もいいです。
 おやっと思ったのは、最後の「日本語は滅んでしまうのか」、でした。日本語ブームの現状を分析し、国語と日本語の違いを述べ、そして日本語への保守的な論を展開しているのです。あれま。