[NO.260] 路地の匂い 町の音

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路地の匂い 町の音
森まゆみ
(株)旬報社
1998年9月25日 第1刷

 約十年前に書かれた文章をまとめた本。「谷根千」の出発から経過を中心に、その周辺を取り混ぜて書かれた内容が多いです。値段から部数、置いてもらっている店とのやりとりなども具体的に細々と書かれていました。そして、市民運動についても。

あとがき
 気がついたら町について書いた膨大な原稿がたまっていた。そのあるものは。「谷根千」の自己証明であり、あるものは個別のテーマを与えられて書いた論であり、あるものは町に生きる気分を描いたエッセイであった。私はそれらを粉々に砕いて、『小さな雑誌で町づくり』(晶文社)と『抱きしめる、東京』(講談 社)に混ぜ込んでしまった。
 本書は多くを捨てて前二書に重ならない文章を集めた。そもそも私は二度同じことを書いたり、同じようなことを別の本に収めたりはすまいと長く思ってきた。しかし、大切なことは何度でもくり返し考え、少しずつ深め何度でも言う必要がある、という藤田省三氏の言葉を受けて、再び粉々に砕きすぎた石を取り出 し、題を与えて収録した分も少しはある。