昭和のまぼろし 本音を申せば 小林信彦 文藝春秋社 2006年4月25日 第1刷発行 |
また、続きを読めたことが幸せです。
p189
保阪正康氏の「あの戦争は何だったのか 大人のための歴史教科書」は新書本ではあるが、中身が濃い。
〈あの戦争〉を語るとき、少しでも戦争をカスっている人と、戦後生まれの人出は、本に漂う匂いが違う。半藤一利氏の「昭和史」がよく読まれるのは、〈体験者〉という信用があるからだと思う。
この新書は、〈あの戦争〉が、いかにいいかげんなことの積み重ねによって始まり、無責任の果てに負けていったか、そのプロセスを簡潔に描いている。
面白い、興味深いといえば、この本はすべてが面白いが、ぼくがうなずいたのは、著者が、
〈......私は昭和十五年という年に、あえて注目し、語っていきたい。この年は、「変調した」日本がピークに達した、非常に暗示的な年に思えるからだ〉
と強調する。
p259
一九六〇年代も、後半になると公害問題が多発し、バラ色が灰色になる。
ベトナム反戦の西海岸のフラワー・チルドレンを真似た〈和製ヒッピー〉が新宿にゴロゴロしていた。反戦でもなんでもなく、アメリカの風俗の模倣である。
アラーキー先生は「あたしゃー、うざったかったね」と後年、吐き捨てるように評したが、ぼくもそういう感じを持っていた。
さすがアラーキー先生。「あたしゃー、うざったかったね」で一刀両断。このお二人はご一緒に本を作っていらっしゃった関係もあるほどだし。いいコンビ。
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