| 四方田犬彦の引っ越し人生 四方田犬彦 交通新聞社 2008年06月30日 第1刷発行 207頁 |
これまでに(といっても刊行年が2008年と古いけれど)著者がこれまでに住んだところを紹介しながら、そのときどきの仕事やかかわった人物とのやりとりなどを紹介している。それにしても引っ越しの回数が17回は多いな。
かつての私小説のようなエッセイのようなこの文体は、《(P.207)本書の元になるエッセイを2005年から2007年にかけて『散歩の達人』誌に連載し》ていたと聞けば納得しました。
自虐風でありながら、どうもはなにつくところがちらちら感じられるのは、坪内祐三さん以上ではないかな。っといいながら、嫌いじゃない。
四方田犬彦さんの著書は、検索してみると、このブログのなかですら4冊も出てきました。こんなに読んだっけ?
[NO.1484] 女王の肖像/切手収集の密かな愉しみ
[NO.1094] ハイスクール1968
[NO.928] 月島物語/集英社文庫
[NO.411] 新潮3月号/第104巻第3号/四方田犬彦「先生とわたし」
ところが『女王の肖像』くらいしか、記憶にありません。『ハイスクール1968』も『月島物語』も『先生とわたし』もまったくといっていいほど覚えていない。
本書『四方田犬彦の引っ越し人生』を読み進めていると、いきなり月島の長屋が出てきたことで思い出しました。だれかが四方田犬彦は最近月島にある長屋に引っ越したんだと話題にしていたのです。
そんなことを書いたのはだれだったっけなあ。まるで夢を見ているような気分になってきます。赤瀬川原平さんかな。同じ頃、南伸坊さんの引っ越した先は、月島ではないけれど、当時流行した言葉「ウォーターフロント」エリア(豊洲とか晴海とか)に建った高層マンションだったのかな。いやいや、そんなはずはない。トレンディな高層マンション群とは違った、もっと低層建築に入居したのはいいけれど、そのお住まいは防潮堤の外側にあるというホラーのような笑えない現実を笑っているという紹介記事だったような。いざというときには無情に閉じてしまうという巨大扉の脇で笑っている辛抱さんの写真を見たような。うーん、どんどん四方田さんから逸脱していく。
そうそう本書には手書きの地図が添えられているのがいい。太いマジックで描いた味のあるイラスト風地図が、それぞれの転居先の紹介になっています。インターネットで地図どころか現地の画像までもが簡単に見られる現在では、かえってこんな地図のほうが新鮮です。
そしてこれが坪ちゃんの『玉電松原物語』に、同じく添えられていた手書きの地図のことを連想させたんじゃないかな。図柄も似ているし。
引っ越し先の住所が番地まで書かれているのには驚いた。さすがにすべての住所が公開されてはいませんが、刊行物に公開してしまうのはあまりにも大胆。こんなの初めてです。個人情報もなにもあったものじゃない。
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