[NO.1640] わたしのeyePhone(アイフオーン)

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わたしのeyePhone(アイフオーン)
三宮麻由子
早川書房
2024年05月10日 初版印刷
2024年05月15日 初版発行
198頁

「本の雑誌」2024年9月号
P68
新刊めったくたガイド
●東えりか
興奮と驚きの支援テクノロジー最前線

の書評のなかで、ハイブリッド・ヒューマンたち 人と機械の接合の最前線から』(ハリー・パーカー著、川野太郎訳/みすず書房)に続けて本書のことを取り上げていました。

エッセイストとして活躍している三宮麻由子さんは、「四歳のとき、目の炎症を治すための手術を受け、光とさよならした」んだそうです。そんな彼女が「スマホ」を手にしたことから、どれだけ生活に変化が生じたかを綴ったのが本書です。

東えりかさんの表現を借りれば

日常を激変させたのがスマホの導入だ。まさに「ハイブリッド・ヒューマン」になった日々が綴られる。

だそうです。

たとえば、食品売り場でカレーのレトルトパックを買うとします。彼女には、それがシチューと区別がつきません。それがカレーのパックであったとしても、辛さが「甘」「辛」「激辛」の区別ができない。

冗談のようですが、これまでは実際に食べてみるまで分からなかったといいます。もっと困ったのが賞味期限問題だったとか。

ところがです。スマホがあれば、たちどころに解決。

パッケージを写真撮影したら、文字認識してから音声で読み上げてくれるのです。

これは、まだほんの一例で、ほかにもスマホが果たしてくれるメリットはたくさんありました。三宮さんのエッセイは、日常生活をまじえて紹介してくれます。

巻末の春風亭一之輔さんとの対談がこれまた興味深く読みました。ボイスオーバーという音声で読み上げてくれる機能を一之輔さんに紹介するなかで、師匠には聞き取ることが難しいほど高速に設定してあったことなど、本文では出てきませんでしたから。

三宮さんが使っているのは最新のiPhoneだといいます。なぜなら、ほかのスマホとくらべて、いちばん彼女が助かる機能が充実しているからだそうです。グレードの高いiPhone Proではないとも。

三宮さんにとってのスマホは、自身の機能を拡張させるためのツールです。