NHK高校講座 あらためまして ベーシック国語 文学史~谷川俊太郎~ 2024/10/28(月)10:20:00 NHKEテレ1東京 |
国語の基本を学ぶ講座バラエティー。今回は文学史回。カレンさんと金田一先生が詩人・谷川俊太郎さんを訪ねる。詩作の秘けつは?また谷川さんが新作してくださった詩とは? |
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いちばんびっくりだったのが、谷川俊太郎さんの次の言葉です。
5分30秒/9分59秒
若い頃から読者はすごく意識してましたから
つまり自己表現ではつまらないと
読者を喜ばせたいと、感動させたいという
他者との関係が、ずっと続いてきているから
それでやっぱり
言葉が人に受け取られやすい言葉になっているのかなと......
谷川俊太郎さんはぶれていないなあと思いました。
何年か前、あるTV番組に出演したとき、同席していた若い詩人たちを凍らせてしまったことを思い出しました。
「えっ、みなさんは依頼を受けてから詩を書いているんじゃないの?」
そのときの話題は、〆切についてだったでしょうか。
原稿の〆切が近づいてから取りかかるのか、日程の余裕をもって完成させるのか、といった話題で盛り上がっていたとき、谷川俊太郎さんは、もちろん〆切に間に合うよう、余裕を持って書き上げているとのことでした。
「だって、頼んでくれた人に迷惑をかけてしまうから......。」
そこで、先の発言につながります。
「えっ、(だって)みなさんは、依頼(オーダー)を受けてから(詩を)書いているんじゃないの?」
詩人のみなさんは下を向いたり苦笑したり。
現代詩を書く詩人にとって、原稿依頼がくるという機会はどれだけあるのでしょうか。
ちょうどそのころ、都内の地下鉄には掲示物の中に谷川俊太郎さんの詩が載っていました。定期的に差し替えられるシリーズものでした。
ニーズがあるから詩を書く。そんなことは、谷川さんにとって当たり前すぎることであって、先の発言が若き詩人たちを傷つけたかもしれないなど、思いもしなかったでしょう。
さすがに、デビュー詩集は依頼をうけてから書いたのではなかったでしょう。ノートに書きためた詩を父谷川徹三が知人である三好達治にみせたことがきっかけだったといわれています。
しかし、読者を意識していたというのは、そのころから変わらないのでしょうね。(っと、読者を意識)
自己表現ではつまらない
自己満足としないところが、谷川俊太郎さんです。
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ホームページ上に この番組は前年度の再放送です。 とあるので、番組をつくったのも昨年のことでしょうか。
というのも、カレンさんと金田一先生が、あの詩人・谷川俊太郎さんの自宅にわざわざ訪ねているからです。昭和6年(1931年)生まれの谷川俊太郎さんは、昨年93歳。矍鑠(かくしゃく)としています。
さらに付け加えると、谷川俊太郎さんの自宅内部が見られるというのも興味深いところでした。雑誌などのインタビュー記事に添えられた小さな写真で、ときどき目にできたくらいです。
さらにさらに付け加えると、書斎の棚です。父親である哲学者谷川徹三の蔵書が並んでいた書棚に戦前の舶来品ラジオをずらっと並べていたのは壮観でした。その後、それらのオールドラジオも、すでに今はないということでしたから、その後はどんな風になっているのか、興味津々(しんしん)でした。
今回の番組では、残念ながら戸棚は見ることができません。そもそもインタビューの収録が行われたのは、書斎ではありませんでした。
番組冒頭でとおされた部屋は、机もあって書斎だったかもしれません。ルーター(らしきもの)と並んでいたのはデジタル式の無線機ではなかったでしょうか。
番組の中で紹介される深堀瑞穂さん撮影写真に写った部屋には棚が見えます。本や小物が並びます。
建物をリフォームしているのでしょうか、それも何度か。
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番組では、滝沢カレンさんが書いてきた自作の詩を披露たあと、今この場で同じタイトルの詩を谷川俊太郎さんにも書いて欲しいと要望し、谷川さんにムッとされるという一コマがあったりして、それはそれはめったにないEテレ番組となっていて、見応えありました。
こんな要望をさらっと口にできるのも、三代目金田一秀穂先生だからですよ。いいとこの御子息が目の前で対面していたことを、あらためて思い起こさせる場面でした。
ところで、先の要望「同じタイトルで(詩を作って頂けませんか)」
に対しての返答が「今、アドリブで言えっていうの?」「そりゃ無理ですよ」「せめて15分ぐらいはないとね」
結局、後日書いたものを発表するならかまわないと承諾を得ます。
それにしても、15分あればいいというのにも、びっくりでした。
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