働くことの辛さは同じ仕事を競わせることで生産性が上がることを知った支配者に内輪の競争を強いられることだと思う。
↑このフレーズにやられました。一文中に読点「、」がありません。
風来坊のあなた
佐多稲子の短編集とワンピースのおんな
◎徳永圭子
P94
佐多稲子の短編集『キャラメル工場から』(佐久間文子編・ちくま文庫)が新刊で出たので、あらためて読んで、胸苦しさに包まれた。働かざるを得ない者が何を捨てているのかが手に取るように伝わり、社会背景が変わってもその怒りと虚しさが自分のこととして残る。
この先に、上記抜粋フレーズがつづきます。坪内祐三さんのパートナーだった佐久間文子さんが編者。お元気でしょうか。今年の春先、刊行されていました。
最近の書評には目にしないことばに、目が止まりました。『キャラメル工場から』に、こんな一節はありましたっけ? 徳永さんの文章ですよね。実体験に裏付けられた強い気持ちがうかがえました。実際にご自分が体験しなくても、身近で見聞きしたとか。佐多稲子の『キャラメル工場から』を読み返したくなりました。佐久間さんの文章が巻末にありそうだし。
徳永圭子さん、いつから「本の雑誌」でお書きになっていましたっけ?
当然のことながら、『暗がりで本を読む』(徳永圭子、本の雑誌社、2020)も未読です。
ネット検索すると、↓このようなサイト。面白そうなお勧め。
【読書の学校】ブックトークフェスティバル2019
「徳永圭子のはじめての一冊」福嶋聡×徳永圭子×田口幹人 司会進行・三砂慶明
2020.03.13
徳永さんの「はじめての一冊」
小川洋子さんの『博士の愛した数式』(新潮社)
『そして、バトンは渡された』(文藝春秋、瀬尾まいこ 著)
澤地久枝さんの『14歳<フォーティーン>』(集英社)
三宮麻由子さんが書いた『世界でただ一つの読書』(集英社)
『ある一生』(新潮社)、ローベルト・ゼーターラー
クレスト・ブックスという新潮社がつくったこのシリーズ とてもお薦めです
『通勤電車でよむ詩集』(NHK出版)っていう、小池昌代さんがいろんな方の詩を集めて名作詩集を編んでるもの
『本屋がなくなったら、困るじゃないか』(西日本新聞社、ブックオカ 編)
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〈特集〉研究者の本が面白い!
わが研究者本遍歴
◎東えりか
『逝きし世の面影』渡辺京二、平凡社ライブラリー →幕末・明治初期に来日した外国人の観察記録から、当時を活写した
『戦争という見世物 日清戦争祝捷大会潜入記』木下直之、ミネルヴァ書房
この研究者本が好きだ!
知に全身全霊をかける学者の姿を見よ!
=青木大輔
『東大夢教授』遠藤秀紀、リトルモア
湖底を探る気候学者/ゾンビ化する政治学者
=神谷竜介
『人類と気候の10万年史/ 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか』中川毅、講談社ブルーバックス
人生にまったく関係ないけど/止まらない一冊!
=足立真穂
『うちのカメ』石川良輔、八坂書房
→オサムシの研究者である著者が、自宅で飼うカメとの日常を淡々と綴る。好きでたまらず、十冊以上を自腹で買って周囲にあげた。
パワハラアカハラが絶えない/「教授ガチャ」世界の恐怖!
=栗下直也
『マルクスに凭(もた)れて六十年』岡崎次郎、航思社
●学部学科別研究者本名鑑を作ろう!座談会
不滅の医学本から忍者にドーナツまで怒濤の58冊だ!
東えりか、中野徹、冬木糸一
『フェルマーの最終定理』サイモン・シン、新潮文庫
→シンはノンフィクションライター、研究者じゃないと入れられない
学部学科別研究者本名鑑58冊一覧 → 別サイトアーカイブスへ保存済
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新刊めったくたガイド
●柿沼瑛子
『ミステリな建築 建築なミステリ』篠田真由美、エクスナレッジ
→事件の現場となった建築のミステリを解き明かしていく
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P.112
三角窓口
仙台繁華街の書店がすべてなくなった!
仙台一番街にある老舗書店の金港堂本店が4月末で閉店するとの新聞記事を読んだ。私が中学生の頃からあった仙台繁華街の書店がこれで全てなくなってしまった。金港堂といえば、以前は仙台フォーラスという仙台ではメジャーなテナントビルにも入っていた。そのフォーラスも今年2月に休業となった。私が学生の頃は仙台の街を数百メートル歩けば必ず書店があった。金港堂から歩くとすぐ高山書店があり、ちょっと歩くと宝文堂があった。さらに歩くとアイエ書店にたどり着き、目の前には仙台駅が見えた。(以下略)
(大方直哉さん)
まさか仙台で、そんなこととは。驚いてしまいました。小さな町じゃない、あの仙台で!
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