[NO.1609] 昭和の商店街遺跡、撮り倒した590箇所

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昭和の商店街遺跡、撮り倒した590箇所
山本有
石黒謙吾 編集
303BOOKS
2023年09月01日 第1刷発行

SNSから書籍化されたという一冊、予想を裏切らない写真が多数。かつて、この手の古びた商店街の画像はネットでよく目にしました。そのうちに流行は廃墟だったり、自販機だったりと細分化へ向かいました。今やなんと呼べばいいのでしょう。

本書は王道を貫いています。TV番組の散歩ものよりはディープですが、銭湯に入ったりはしない程度といったところ。なにしろテーマは「昭和の商店街遺跡」です。どんどん失われていくので、「今」じゃないと間に合いません。

出版社サイト、本書紹介ページ リンク、こちら 

著者のブログページを開いてみると、最新記事のタイトルは「【神奈川県横浜市・磯子区】浜マーケット2023」、本書の表紙写真にある商店街でした。いわゆる再訪というやつ。リンク、こちら 

目をひいたのが、写真に添えられた以下の説明でした。

(空き店舗は休憩スペースや掲示スペースとして活用され)
 有難いことに拙著も告知いただいております。
書店のない商店街で書籍を売るというのはおそらく前代未聞ではないかと思います。
(20年位前に、お魚天国という歌が大ヒットしたときに魚屋さんでCDを売ったという最初で最後の出来事を思い出しました)

たとえとして、ここで「お魚天国」のCDがすっと出てくるところがなんとも。すでにこちらの頭の中は「サカナ サカナ サカナ サカナを食べると~」の歌が鳴り響いています。

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本書の特徴がでているので、著者プロフィールを引用します。

1975年、茨城県鹿嶋市生まれ。昭和を感じさせる全国の古い商店街を撮り歩き、今まで訪ねた商店街は28都道府県で590ヶ所(2023年5月現在)。2010年からブログ「香ばしい町並みブログ」で、2013年からTwitterで紹介し続けている。もともとは古い商家や木造駅舎のイラストを描くための元ネタとして始めた商店街撮影だったが、だんだんとそちらがメインになっていく。20代に東京・蒲田で小さなスーパーの店長を5年間経験し、下町人情にあふれる商店街の「中の人」になった経験も。商店街好きが高じて、10円玉で動く電動新幹線を復元し自宅で動かしている。合気道二段。「古い商店街は年々失われつつありますが、生涯、1ヶ所でも多くの場所を撮り歩き続けたいです」

ブログ
https://blog.goo.ne.jp/nutack_kasima

Twitter
https://twitter.com/koubashimachi

訪れた先が全国範囲ですが、掲載された全国地図(「昭和の商店街遺跡 全国探訪MAP」)のドット(写真で紹介の108箇所)を見ると、かなり偏りのあるのがわかります。いったいどんな理由で、このまだらな地点が選ばれたのか、そっちのほうに興味がわきました。すると、そのあたりの説明が巻末「商店街探しはネット検索の「芋づる方式」で」にありました。ネット検索、SNS、Googleマップ(ストリートビュー)等々、なるほどです。

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この書名にある「撮り倒した590箇所」ってところの「○○(し)倒した」は、やっぱりいただけないかな。「○○し倒す」という言い回しを書名に使うというのは、どなたの発案なのでしょう。