読みとおせなかった『新版 地図で見るアメリカハンドブック』と再読『宮武外骨絵葉書コレクション』

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新版 地図で見るアメリカハンドブック (新版)
クリスティアン・モンテス/パスカル・ネデレク 著
鳥取絹子 訳
地図製作 シリル・シュス
原書房
2021年07月10日 第1刷

いちばん目を引いたのが住宅についてでした。かつてのアメリカ産TVドラマ「ルーシーショー」や最近も再放送している「奥様は魔女」を見ては、その住居が気になったものです。映画では「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「ジュマンジ」その続編「ザ・スーラ」で描かれた家です。

地下室にはボイラー設備、3階は屋根裏の物置(部屋)。ガレージの扉は電動シャッターで庭はスプリンクラーが回っている芝生。その前の歩道の手前には例の郵便ポストが立っています。

1950年代、大量に量産された住宅なんでしょう。

本書では図面付きで紹介されています。

P80
ホーム・スイート・ホームーー個人住宅の理想

階層による持ち家問題に最初、ページを割いています。2007年サブプライム住宅ローン危機にも当然ふれます。マイノリティの持ち家率、収入と対する住宅価格など。

フランスとの比較をしながら、住宅の大きさを紹介します。

最近の「平均的な」家
・ガレージ付き おもに2台(3台以上所有は全体の22パーセント)
・家の前でバスケットができる
・台所はサロンに通じるオープンキッチン形式が多い
・広い台所 落ち着いた色合いの木目調と御影石の調理台が主流
・調理に使う時間は出身民族によって違いはあるものの平均15分
・台所はともに楽しむ場
・バスルームが複数あって、クローゼットも大きい

「公害居住者を支える芝生とバーベキューとコミュニティ」
 個人の家は1軒の建物として以上に、その地域とは切っても切れない関係にあり、いい換えると、まさにコミュニティあってのアメリカなのである。きれいに刈り込まれた芝生の庭(花が植えられていることが多い)は直接通りに面して、垣根がなく、それだけでコミュニティと一体になっていることを示しているーー1人の女性がそこを菜園にすると、まわりのみんなもまねをして、それでコミュニティもなごやかにーー。玄関の前にある庇つきのポーチもまた社交の場だ。いっぽう、塀で囲まれた裏庭はプライベート用で、有名なバーベキューセットやプールがある。
 多くの場合、環境にやさしいとは言えないこれらの家は、それでも理想の田園風景の象徴で、アメリカ人が個人の持ち家に熱中する要因の1つになっている。

内容と関係なくおかしいのは、記述にときどきあらわれる皮肉めいた表現です。たとえば、「多くの場合、環境にやさしいとは言えないこれらの家は」とか。

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アメリカ建国から地理上ではアラスカまで、実に幅広い内容の本ですが、上記のような個人的な内容に関心はひかれがちでした。フロリダの住宅街の開発地図とか。日本でやろうとしていることが、いかに後追いか知ると、可笑しくなります。


宮武外骨絵葉書コレクション
金丸弘美 編
無明舎出版
1997年07月20日 初版発行
175頁
再読

何遍読んでも(眺めても)、いつの間にやら気持ちがあちこちへ飛んでしまいます。そうしていろいろなことに思いふけっている自分に気づいてはっとしたり。

本書の成立について書かれているページがあるので、紹介します。

P68
「絵葉書類別大集成」の成立過程 吉野孝雄
 外骨が編集したと思われる、何とも不思議な絵葉書アルバムの山を見つけたのは、10年以上も前の一九八四年のことだったと思う。当時、企画が進行中の『滑稽新聞』全六巻や、『広告批評』の「外骨特集」の取材のため、赤瀬川原平さんや松田哲夫さんたちと明治新聞雑誌文庫を訪れた時のことだ。
 外骨の出版物の物量に圧倒された眼を、脇にそらせて休ませる視線の先に、黒々と堆く積まれた古びたアルバム帖の山があった。「何でしょうね、コレ......」とたぶん最初に赤瀬川原平さんが言ったと思う。
(以下略)


いやはや、わくわくしてきます。この吉野孝雄さんは外骨の甥御さんです。そうそう、本書の編者 金丸弘美についても......。

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本書はA4サイズと書かれることもありますが、紀伊國屋書店のサイトでは高さ31cmとありました。紙質の違いもあって、とにかく重い。